「呪縛」解放へ!? ディーマジェスティ「凱旋門賞挑戦の可能性」にファン歓喜も、奥底にあるのは「インフレ価値」への違和感か?
そもそも、欧州競馬をふくめ競馬の「中距離重視」は顕著であり、英チャンピオンS(芝2000m)やクイーンエリザベス2世S(芝1609m)、インターナショナルS(芝2092m)など、ハイレベルメンバーが集まり世界的評価の高いレースは中距離以下が中心となりつつある。もちろん、欧州レースの評価が高くなりやすい傾向などもあるのだが。
これらは一例に過ぎないが、日本馬がこのようなレースになかなか積極的に遠征しないのは、すべては「勝てそうで勝てない凱旋門賞」の影響が強いという見方が強い。もちろん日本と比べて低い賞金面での問題もあるのだろうが、マスコミによる浸透度も含め「日本初の凱旋門賞制覇」という栄誉を勝ち取らないことには”先に進めない”状況が出来上がってしまっているような気がしてならない。そして、日本国内で他の欧州レースと比較して高まりに高まった凱旋門賞の”価値”が、陣営を動かしているように思えてならないのだ。一昨年、世界No.1評価を受けてはいたものの、ベストな距離とは思えないジャスタウェイを挑戦させた点には多くの人が疑問を抱いたが、それも凱旋門賞の「価値」が働いた結果ではないか。
もし日本馬が一度でも勝つことができれば、凱旋門賞に”無理やり”挑戦させるようなことはなくなるのではないか……「日本最初の凱旋門賞馬」という価値がなくなることは非常に大きいことのように思える。他の欧州G1に挑戦する動きが活発化する可能性は大きいだろう。
だからこそ、凱旋門賞での経験豊富な陣営、しかも3歳で斤量面でも有利に働くディーマジェスティ、日本を代表するドゥラメンテに「呪縛」の解放を託したいファンが多い部分もあるのかもしれない。日本ダービーの結果、その後の選択を含め、大いに注目したいところだ。
(文=利坊)