JRA 中山金杯(G3)三連単「339万円」の大波乱再び!? カギを握る「犬猿の仲」の紅二点
5日、中山競馬場で中山金杯(G3)が行われる。同レースは京都金杯(G3)と並ぶ中央競馬の開幕を飾る名物レースだ。「1年の計は金杯にあり」という競馬の格言があるように、幸先良く的中したいのは、どの競馬ファンも同じだろう。
また、昨年末の有馬記念や東京大賞典といったG1レースは比較的堅い決着で終わったため、的中は出来ても配当は高くなかった。それだけに、物足りなさを感じた穴党も多いだろう。
ただ、そんな穴党に最適といえそうなのが、今年の中山金杯。波乱の決着が多いハンデ戦で、実力馬は重賞2勝のトーセンスーリヤぐらいといったところだろうか。そのトーセンスーリヤはトップハンデの57.5キロを背負うが、同斤量では先月の中日新聞杯(G3)で2番人気のボッケリーニが4着に敗れたばかり。凡走する可能性も十分高い。
さらに、高配当を招く存在となり得るのが、シャムロックヒル(牝5歳、栗東・佐々木晶三厩舎)とロザムール(牝6歳、美浦・上原博之厩舎)の先行馬2頭だ。
出走17頭で牝馬はこの2頭のみ。紅一点ならぬ「紅二点」の存在と言えるが、牝馬ゆえ背負う斤量は軽く、前々で粘り込みを図るレースに徹すれば残り目は十分考えられる。
ただ、2頭は同型ゆえに犬猿の仲でもある。その象徴が昨年行われたエリザベス女王杯(G1)だ。
好スタートを切ったシャムロックヒルと逃げて結果を残してきたロザムールが、1コーナーまでハナを主張し合う展開で幕を開けた牝馬G1戦は、結果的に後方で脚を溜めた馬が上位を独占。レースを引っ張った2頭を含めて、先行馬はハイペースに巻き込まれ、軒並み下位に沈むこととなった。
馬券に絡んだ追い込み馬は、いずれも人気薄で三連単の配当は約339万円にもなり、昨年行われたG1の中では1番の大波乱だった。
波乱を呼ぶ展開を作った2頭が出走するとなれば、再び大荒れ決着になる可能性が高いだろう。
シャムロックヒルは昨年6月のマーメイドS(G3)を逃げ切って初重賞制覇を飾ったように、逃げが理想のタイプ。
対するロザムールも、オープン昇級以降で好走したレースは全て逃げである。さらに今回は主戦の北村宏司騎手が手綱を取る。ハナを取ってこその馬であることを誰よりも知る人物のため、何が何でも逃げの手に出る確率が高い。
「2頭の陣営は互いに前走の二の舞が起こらないよう警戒しているフシがあります。牽制しあえば、戦前の予想とは裏腹にペースが思いのほか落ち着く可能性もありますが、それはレースが始まってみないと分かりません。
過去の戦績から2頭どちらもハナが理想なのは明白です。2頭が競り合うようなら、エリザベス女王杯のように速いペースで流れて、人気薄の追い込み馬の流れ込みがあるでしょう」(競馬誌ライター)
今年の東の開幕重賞は人気薄の追い込み馬に運命を託し、直線で飛び込んでくることを楽しみに待つのも面白いかもしれない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……