JRA【シンザン記念(G3)展望】「新しいグランアレグリア」C.ルメール「絶賛」ラスール登場! レッドベルアームは川田将雅に乗り替わりが大幅割引?
9日、中京競馬場では第56回シンザン記念(G3)が行われる。過去10年の勝ち馬は、2012年ジェンティルドンナ、18年アーモンドアイなど4頭がのちにG1馬に輝いている。今年もここをステップにG1路線で活躍する馬が誕生するか。
そんな出世レースに今年も将来性のある有力馬が出走する。10月の新馬戦を勝った際、鞍上を務めたC.ルメール騎手が「新しいグランアレグリアですね(笑)」と絶賛したラスール(牝3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。
東京スポーツ杯2歳S(G2)を快勝したイクイノックスが牡馬路線で中心視されているキタサンブラック産駒だが、牝馬路線はこの馬がクラシック候補として名乗りを上げる可能性が高い。
デビュー戦はスタートでやや出負けしたが、すぐに挽回して好位3~4番手を追走。直線で先行馬をとらえると、最後まで脚色は衰えず。2着馬に3馬身半差をつける快勝だった。
ルメール騎手がグランアレグリアの名前を挙げたのは、そのポテンシャルの高さを感じ取ったからだろう。半兄には古馬になってから中長距離重賞を3勝したシャケトラがおり、その血統背景から桜花賞(G1)よりもオークス(G1)向きかもしれない。
ご存じの通り、藤沢和厩舎は来月いっぱいで定年引退を迎えるため、ラスールがここで結果を残しても、春のクラシック本番は転厩先で迎えることになる。藤沢和師は最後の大物候補をクラシック路線に乗せることはできるだろうか。
血統的な魅力ではレッドベルアーム(牡3歳、栗東・藤原英昭厩舎)も負けていない。
半兄にはデイリー杯2歳S(G2)を兄弟で連覇したレッドベルジュールとレッドベルオーブがいる良血馬だ。父がディープインパクトからハーツクライに替わった本馬は6月の阪神でデビュー勝ちを収めた。
約4か月の休養を経て、秋は東京スポーツ杯2歳Sで始動。イクイノックスに次ぐ2番人気に支持されたが、スタートで挟まれるロスもあって5着に敗れた。
レース序盤に折り合いを欠き、騎乗した福永祐一騎手も「良い走りが出来ませんでした。まだバランスの取りにくい走りで、コーナーでも逃げ加減でしたし、脚が溜まりにくい走りでした」とコメントするなど課題が残る内容だった。
今回は福永騎手に替わって川田将雅騎手が手綱を取る。昨年はリーディング2位の136勝を挙げたが、実はシンザン記念は相性が悪い重賞レースの一つ。これまで19年アントリューズ、20年ルーツドールでともに1番人気を裏切るなど、過去10度の騎乗はすべて馬券圏外と散々。11度目の騎乗で汚名返上となるか。
未勝利、こうやまき賞(1勝クラス)を2連勝中のソリタリオ(牡3歳、栗東・西村真幸厩舎)も春のクラシックを見据える1頭だ。
新馬戦、つづく未勝利戦と2戦連続2着と勝ちあぐねていたが、レースを経験しながらしっかりと競馬を覚えてきた。
切れる脚はないが、先行力としぶとさが魅力。父は名マイラーのモーリスで、昨年の当レースではその産駒、ピクシーナイトとルークズネストがワンツーを決めている。
鞍上は新たに短期免許が交付されたC.デムーロ騎手を起用。11月下旬からの1か月間で18勝を挙げ、阪神C(G2)をグレナディアガーズで勝利、ホープフルS(G1)はジャスティンパレスで2着と久々の日本でしっかり存在感を示した。帰国前の一戦で爪痕を残せるか。
ビーアストニッシド(牡3歳、栗東・飯田雄三厩舎)は未勝利戦を勝ち、果敢に京都2歳S(G3)に挑戦。10頭立て9番人気の低評価だったが、ジャスティンロックと半馬身差の2着に逃げ粘った。重賞で連対経験があるのは出走メンバー中この馬だけだ。
マテンロウオリオン(牡3歳、栗東・昆貢厩舎)は先月の新馬戦で2着に敗れたが、中1週で万両賞(1勝クラス)に格上挑戦すると、最後方から直線一気の差し切り勝ちを収めた。再び中1週というハードなローテーションで重賞初挑戦を迎える。
この他には、デイリー杯2歳Sで朝日杯FS(G1)2着馬セリフォスと0秒3差の3着に好走したカワキタレブリー(牡3歳、栗東・杉山佳明厩舎)や、前走のこうやまき賞でソリタリオとクビ差の2着だったウナギノボリ(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)も侮れない存在だ。
果たして、出世レースのここを勝ち上がって、3歳クラシック路線に名乗りを上げる馬は登場するか?発走は9日15時45分の予定だ。