JRA横山武史「立場」変わって持ち味消えた!? 中山金杯(G3)勝負所で判断に迷い……、トップジョッキーに求められるハードル

 5日、中山競馬場で行われた年始の重賞・中山金杯(G3)は、斎藤新騎手の4番人気レッドガラン(牡7、栗東・安田隆行厩舎)が優勝。昨年は京都金杯(G3)をケイデンスコールで制しており、安田隆厩舎は東西金杯の完全制覇を達成した。

 デビュー4年目の斎藤騎手にとっては、ラブカンプーで制した2020年CBC賞(G3)に続く、重賞2勝目。師匠である安田隆調教師もこれがJRA重賞50勝目となり、厩舎ゆかりのロードカナロア産駒で記念すべきメモリアル勝利を飾った。

ヒートオンビート

 7歳馬に若手騎手という真逆のコンビで勝利を手にした人馬に対し、残念な騎乗となってしまったのが、1番人気ヒートオンビート(牡5、栗東・友道康夫厩舎)に騎乗していた横山武史騎手だ。

「ジリジリだった。ラストも伸びたというより、止まった馬をかわした感じだった」

 2着で連対確保どころか3着に敗れたレースを振り返った若武者は、パートナーの末脚に不満を感じさせるコメントを残したが、お世辞にも好騎乗だったとは言い難い内容だったかもしれない。

 17頭立てで行われた芝2000m戦。シャムロックヒル、ロザムールが先導したものの、競り合いを嫌った2頭が、すんなりと収まってスローペースを作る。2枠4番の好枠からスタートしたヒートオンビートは、内目の8番手あたりを追走した。

 道中のポジション的にも、勝ったレッドガランをちょうど前に見る感じ。向こう正面で田辺裕信騎手とジェットモーションが、後方から一気に先団まで上がる奇襲もあったとはいえ、ここまではそう悪くないレース運びだったといえるだろう。

 問題なのは、勝負どころの最終コーナーでスムーズさを欠いたことだ。

 どの馬も加速している遠心力が大きい状況。すぐ前のレッドガランが、外に持ち出したこともあってヒートオンビートの進路を外に求めるしかなくなってしまった。同じく外を回したレッドガランより、さらに外を回すこととなり、結果的にここでのロスが2着争いで後れを取った原因の一つとなった。

「昨年末に有馬記念、ホープフルSといったG1を連勝し、今最も勢いのある横山武騎手ですが、トップジョッキーの仲間入りをするということは、上位人気馬に騎乗する機会も増えるということです。なんだか少し守りに入った騎乗ぶりだった気がします。

これまでは、どちらかというと穴馬に騎乗してチャンスを生かす立場でしたが、これからは人気薄で一発を狙うよりも、しっかりと結果を残す側に変わる訳です。思い切りの良さが武器の若手らしさを見せた斎藤騎手との差が、全くなかったとは言い切れない騎乗にも映りました」(競馬記者)

 実際、レースの映像を見直してみても、積極的に動いていった斎藤騎手に対し、横山武騎手は後手に回る展開。勝ちに行く強気な騎乗というよりも、無難に乗ろうとしていたように見えたのは気のせいだろうか。

 ジリジリとしか伸びなかったとコメントしているが、多くの馬が上がり3ハロン35秒台だった。馬場状態が決して良好とは言い難い今の中山ならそう珍しくはないだろう。

 飛躍を期待される今年は、多くの有力馬陣営から騎乗依頼が舞い込むことも予想されるだけに、謙虚な姿勢を求められることも増えるはず。現在、トップジョッキーといわれる騎手たちも、若手の頃に多くのほろ苦い経験をしてきた。

 折角手に入れたチャンスを逃がさないためにも、横山武騎手の持ち味である攻めの騎乗が色褪せないことに期待したい。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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