JRA横山典弘「後方ポツン」が引き出したG1級の切れ! シンザン記念(G3)で目を離せない激走必至のお宝馬
9日に中京競馬場でシンザン記念(G3)が行われる。同レースはアーモンドアイやジェンティルドンナなど、後のG1馬を多数輩出している出世レースだ。
今年の出走馬の顔ぶれを見てみると、前走の新馬戦を好位から楽に抜け出し2着馬に3馬身以上つけて楽勝したラスールが人気を集めそう。
同馬はシルクレーシングの所有馬で、鞍上はC.ルメール騎手。さらに牝馬ということもあり、2018年の優勝馬アーモンドアイを彷彿とさせる点も人気に拍車をかけそうだ。まだ底を見せていない期待馬に陣営からの評価も高い。
底を見せていないといえば、もう一頭注目したいのが同じくシンザン記念に出走予定のマテンロウオリオン(牡3歳、栗東・昆貢厩舎)だ。
12月の新馬戦では、太宰啓介騎手が騎乗し2番手からの押し切りを狙う正攻法の競馬で挑むも、ゴール前で僅かに差されて2着に敗れていた。
だが、続く前走の万両賞(1勝クラス)では、メンバー唯一の未勝利馬として格上挑戦したが見事に勝利を収めたことは注目に値する。
何より凄かったのが、そのレース内容だ。
このレースには、太宰騎手から横山典弘騎手に乗り替わっての出走。スタートから出足が悪かったこともあってか、前走とは打って変わって道中は終始離れた最後方を追走することとなった。
「ポツン騎乗」で知られる横山典騎手が騎乗していたため、「またか……」と溜息をついたファンも多かったかもしれない。
しかし、3コーナーに入っても前を行く一団とはかなり差があり、万事休すかと思われた展開ながらも、追い上げを開始すると見違える行きっぷり。大外に持ち出された最後の直線で、前を行く全頭をごぼう抜きしてみせたのである。
管理する昆師は「まだ粗削りだけど、スローの流れで1勝クラスの馬を差し切るんだから、能力は抜けていたよね」とコメント。決して展開に恵まれたという訳ではない中で、直線最後方からまとめて差し切る勝ちっぷりに驚きを隠せなかったようだ。
「同日メインの阪神C(G2)を勝利したグレナディアガーズの上がり3F34秒0に対し、万両賞のマテンロウオリオンは33秒4の上がりを繰り出しています。走破タイムや位置取りに違いがあるとはいえ、長期開催で芝が酷使された冬の阪神。この上がりは相当な脚力がないと出せないでしょう」(競馬ライター)
今回は、前走からメンバーが一段と強化される一戦。1月6日現在『netkeiba.com』の単勝予想オッズでは24倍の6番人気とあまり人気は高くないようだが、前走で見せた脚力を持ってすれば、通用しても不思議ではないだろう。
そして、今回も鞍上には横山典騎手を予定。関東の大ベテランが選択するのは再び「後方ポツン」か、それとも……。名手の手綱さばきと、マテンロウオリオンの豪快な走りに要注目だ。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。