JRA武豊「ケンタッキーダービーの夢」霧散……!? 単勝1.7倍ジュタロウ敗戦で黄色信号も「新たなプラン」が急浮上?

岩田康誠騎手

 8日、中京競馬場で行われた7R・3歳1勝クラス(ダート1800m)は、岩田康誠騎手の2番人気デシエルト(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)が勝利。叔父にドゥラメンテ、祖母にアドマイヤグルーヴがいる良血馬が、デビュー戦からの連勝を2に伸ばした。

 一方で、単勝1.7倍に支持されながらも2着に敗れた1番人気ジュタロウ(牡3歳、栗東・河内洋厩舎)にとっては、痛恨の敗戦となったに違いない。

 5着馬までがタイムオーバーという衝撃のデビュー戦から、約2か月。初陣は番手から早めに先頭に立つ競馬で押し切ったジュタロウだったが、この日は大外14番からのスタートということもあって、最初のコーナーで位置取りを下げて中団から。終始外々を回らされる厳しい展開だったが、鞍上の武豊騎手も早めに先頭集団を射程圏に入れるそつのない騎乗だった。

 しかし、最後の直線で粘りに粘ったのが、前を行くデシエルトだ。最後は2頭のマッチレースとなったものの、ジュタロウは一度も前に出ることなく2着に敗れた。

「勝ったデシエルトもデビュー戦を7馬身差で圧勝していた馬ですし、今日は相手が強かったと思います。

ジュタロウは、何といっても大外枠が痛かったですね。スタート直後に隣にいたエルバリオと軽く接触してポジションを下げると、1コーナーで外を回った分、さらにポジションが下がりました。

今回はチャンピオンズC(G1)と同じ中京ダート1800mが舞台でしたが、同レースが中京で行われるようになった2014年以降、8枠が1頭も3着以内に入れていないように、外枠が不利なコース。14番とはいえ、大外枠からのスタートが痛かったと思いますね」(競馬記者)

 記者が話す通り、今回の敗因は明らかなものの、やはり「期待ハズレ」といった感は否めないか。

 実際にレース直後にはSNSや掲示板などで「普通に負けてるし!」「案外だったな……」「そこまで強くないんじゃ」といったジュタロウの走りに落胆の声が続々……。一時トレンド入りするなど、勝ったデシエルトよりも大きく注目されていたようだ。

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 というのも、ジュタロウはデビュー戦後に武豊騎手が米国三冠の「ケンタッキーダービー(G1)に行きたい」と直訴するほどの馬だったからだ。今回の単勝1.7倍という圧倒的な支持には、そういった競馬ファンの“夢”も託されており、だからこそ敗れたショックも大きかったようだ。

「レース内容は、そう悲観するようなものではないと思いますが、目指しているところが高いだけに、自己条件で躓いてしまったのは陣営にとっても計算外だと思います。

もちろんこのまま(JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBYの対象レースとなる)2月のヒヤシンスS(L)で結果を出して、ケンタッキーダービーへ挑む道もありますが、少なくとも期待値は大きく下がってしまいましたね。場合によっては、白紙になる可能性も出てきました」(同)

 その一方で、もう1人の記者からは興味深い話が聞けた。

「今回の敗戦で、日程的にもケンタッキーダービー挑戦が難しくなった以上、ここは思い切って米国三冠の最終関門ベルモントS(G1)を目指す選択肢もありなんじゃないでしょうか。ケンタッキーダービーが5月7日に開催されることに対して、ベルモントSは6月11日と約1か月の時間的余裕ができます。

というのも、ジュタロウの“半端ない”ところはスピードよりもスタミナなんですよね。その点、ダート2400mのベルモントSは打ってつけじゃないでしょうか」(別の記者)

 実際に、デビュー戦後に武豊騎手が「スタミナが半端じゃない」と言えば、河内調教師も「とにかくスタミナが尋常じゃない」と、ジュタロウのスピードよりもスタミナ面を絶賛している。

 ケンタッキーダービーのダート2000mもこの時期の3歳馬にとっては長丁場だが、2400mのベルモントSはさらにスタミナが問われるレースとなり、米国三冠の歴史でも2冠馬が涙をのむシーンも珍しくない。

 武豊騎手と共に2016年の米国三冠へ挑戦したラニが、最も頂点に迫ったのが3着に敗れたベルモントSだったことは記憶に新しい。傷心の大器ジュタロウが真価を発揮できる舞台は、米国三冠の最終章にあるのかもしれない。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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