JRAシンザン記念(G3)横山典弘「引っ張り殺さないギリギリ」マジック炸裂! マテンロウオリオン激変に昆師「典ちゃんは何するか分からない」

 9日、中京競馬場で行われたシンザン記念(G3)を制したのは、横山典弘騎手が手綱を取ったマテンロウオリオン(牡3、栗東・昆貢厩舎)。下馬評では、単勝オッズ1.8倍の断然人気に推されたラスールに人気が集中したが、鮮やかな勝利で評価を覆した。

 昨年12月の前走・万両賞(1勝クラス)では、11頭立ての芝1400m戦を最後方から差し切る“刺激的”な競馬。もはや代名詞となりつつある「後方ポツン」で上がり33秒4という驚異の末脚を引き出す快勝だった。

 ファンにとっても当時のイメージが鮮明に残されていた同馬だが、今回は好位3番手から抜け出す優等生の競馬で勝利を掴んだ。

 だが、元JRA騎手の安藤勝己氏ですら「ノリが一番伸びる完璧なコースを取った。位置取りで有力馬を封じ込めた感じで、前走とは違いすぎる戦法に驚いた」(公式Twitterより)と触れたモデルチェンジも、その裏には一部のファンから武豊に匹敵する天才を評される関東の大ベテランの計算通りだったというのだから恐れ入る。

 レース後のコメントで種明かしされた横典マジックの内容は以下である。

横山典弘騎手

「前走は気持ちもゆっくりしてたので後ろで折り合ったんですけど、今日は3回目で返し馬から抑えるのが難しいなと思いました」というのが冒頭のセリフ。「スタートも良かったんで、ギリギリの、引っ張り殺さないような一番いい位置で折り合えたのが良かった」らしい。

 続けて「馬本位です。前走くらい落ち着いてくれれば、どっちかと言うと切れ味勝負ができる馬ですが、今日はそれどころじゃなかったので。やっぱりまだ3戦目で、よくあるパターンですが、競馬を覚えちゃってやる気満々になった」と振り返った。

 横山典騎手のコメントから伝わるのは、あくまで「馬本位」での競馬ということ。「馬と対話」が出来るとも噂される名手にしてみれば、“いつも通りのことをやったまで”ということなのだろう。

 ただ、こちらについては、マテンロウオリオンを管理する昆師も他人事ではなかったようだ。

「典ちゃんは何するか分からない。それがあの人の魅力だけどね。いろんな競馬ができて楽しみになった。型にはまらなくても色んな競馬ができる」と『スポーツ報知』が師のコメントを報じていたように、今回のマジックも陣営からの指示ではなく、横山典騎手への“全権委任”が最高の結果を導いたようだ。

「昆先生のコメント通りで、ホント何するかわからないですよね(笑)。私もてっきり後ろから行くとばかり思っていました。この『ハラハラドキドキ感』もまた横山典騎手の魅力なのでしょうね。最近は息子の活躍ばかりが目立っていますが、まだまだ一流の腕は健在。

切れる脚のないタイプが多いダイワメジャー産駒で切れを引き出すなど、変幻自在な騎乗ぶりもさすがの一言です。おそらく距離の延びるクラシックより、NHKマイルが目標となりそうです」(競馬記者)

 そんな父の前祝いをするかの如く、直前に行われた中山メインのポルックスS(OP)では、長男の和生騎手が1番人気ダノンスプレンダーでしっかりと勝利。最終12Rでも三男の武史騎手が、3番人気のヒメノカリスで2着に5馬身差の圧勝で続いた。

 振り返ると中山11R→中京11R→中山12Rと横山一家で3連勝の固め打ち。武史騎手は15日から16日まで騎乗停止となるが、まさに「横山祭り」といえるそんな日曜の夕方だった。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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