JRA “横山旋風”に射した「四番目の光」? 複勝回収率「122%」で武史、和生に続くブレイクの兆し
今年も“横山ファミリー”が競馬界を盛り上げそうだ。ご存じ53歳の横山典弘騎手とその長男・和生騎手、そして三男・武史騎手のことである。
昨年は武史騎手がG1を5勝、自己最多の104勝を挙げ2年連続関東リーディングに輝くと、和生騎手も弟に負けじと自己ベストを大幅に更新する79勝で存在感を見せた。
一方、父の典弘騎手は昨年こそ重賞未勝利に終わったが、9日のシンザン記念(G3)をマテンロウオリオンで制覇。実に1年1か月ぶりとなる重賞勝利で父の威厳を示した。また、この日の中山メイン、ポルックスS(OP)をダノンスプレンダーで勝ったのが和生騎手なら、中山最終レースを勝利で締めくくったのは武史騎手だった。今年も横山ファミリーから目が離せそうにない。
そんななか、同じ横山姓を持つ若手騎手がブレイクの兆しを見せている。デビュー2年目を迎えたJRA最年少ジョッキーの横山琉人騎手である。
昨年3月のデビュー時は永島まなみ、古川奈穂の女性騎手2人が話題を集めた世代で、同期は総勢8人いる。1年目の勝ち頭は、31勝を挙げた小沢大仁騎手で、永野猛蔵騎手が29勝で続いた。さらに角田大和騎手が20勝、松本大輝騎手が18勝を挙げ、計4人が1年目から2桁勝利をマークした。
4人からはやや水をあけられた9勝にとどまったのが横山琉騎手だった。横山典弘ファミリーとの血縁関係はないが、実はこちらも正真正銘の“ジュニア”である。
父の義行氏は「ヨコギ(横義)」の愛称で知られ、平地と障害の両方で活躍。それぞれ通算100勝以上をマークした。ゴーカイやメルシーエイタイムとのコンビで障害G1を3勝した父の姿を見て育ち、横山琉騎手が同じ道を志したのも必然の流れだったのだろう。
そんな横山琉騎手も2年目を迎え、着々と力をつけてきている。
東西金杯が行われた5日には、22年のJRA最初のレースを勝利。幸先いいスタートを切ると、9日の中山3R・3歳未勝利戦をイカロスで逃げ切り勝ち。さらに10日には自身初の関西圏への遠征となった中京で2鞍に騎乗し、勝利をもぎ取った。昨年9勝ジョッキーが、今年は開催4日間で早くも3勝目を挙げて躍動している。
9日は他にも1Rと5Rでともに10番人気の伏兵を3着に導くなど、10日終了時点で今年の単勝回収率は「90%」、複勝回収率は「122%」という高い値をたたき出している。
「横山琉騎手は9勝に終わった昨年も単勝回収率は92%で、同期8人中トップでした。デビュー当初からたびたび人気薄の馬を馬券圏内に持ってきていて、穴党ファンからの視線は熱いですよ。
小沢騎手や永野騎手には後れを取りましたが、挽回は可能だと思います。将来的にはお父さんが活躍した障害での騎乗が増えそうですが、平地でもまだまだ勝ち星を伸ばせる腕の持ち主だと思いますよ」(競馬誌ライター)
関西のファンにも「第四の横山」をアピールした横山琉騎手。これ以上ないスタートを切り、昨年の9勝に並ぶのも時間の問題かもしれない。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。