JRA M.デムーロに「ラッキー」なライラックが降臨!? フェアリーS(G3)明暗分かれたC.ルメールの「アンラッキー」

M.デムーロ騎手

 10日、中山競馬場で行われたフェアリーS(G3)は、5番人気のライラック(牝3歳、美浦・相沢郁厩舎)が優勝。スタートで出遅れ、一時は最後方からの競馬を強いられたが、M.デムーロ騎手の冷静な騎乗もあった結果。直線で末脚を爆発させ、15頭のライバルたちをまとめて差し切った。

 京都2歳S(G3)8着からの巻き返しに成功したデムーロ騎手はレース後、「すごいですね、いい脚」と開口一番に愛馬を称えると、「クラシックを狙える馬だと思います。体は小さいですが、心が強い馬です。落ち着いて走れば、良い脚が使えます。楽しみですね」と満面の笑みで今後の展望を口にした。

 一方、2番人気を大きく裏切る10着に惨敗したのがエリカヴィータ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)とC.ルメール騎手だ。

 パートナーは、20年の1歳セレクトセールにて1億8700万円(税込)の高値で落札された期待のキングカメハメハ産駒。前評判も高く、1戦1勝ながらライラックを凌ぐ高い支持を受けていた。

 しかし、こちらもスタートのタイミングが合わず。ライラックと同じく後方からの競馬となった。

「JRAの公式発表によるとエリカヴィータのコーナー通過順は『14-13-13』で、ライラックは『16-9-10』でした。1コーナーでは最後方だったライラックですが、バックストレッチでデムーロ騎手が早めに動き、最終コーナーでは先行集団のすぐ後ろまで位置を押し上げていました。

対するエリカヴィータは外からライラックに交わされた時点で、一緒に上がっていくこともできたと思います。ところがルメール騎手は、あえて末脚を温存したように見えました。ルメール騎手のこの判断は決して間違っていなかったと思いますよ。4コーナー手前では抜群の手応えで、ライラックの2馬身直後にいましたから……」(競馬記者)

 だが、そんなエリカヴィータを待っていたのは、致命的なアクシデントだった。

「ルメール騎手がギアを入れて加速したときでした。すぐ前にいたスプリットザシーが外側に斜行し、エリカヴィータはポケットシンデレラとともに大きな不利を受けてしまいました。実際、スプリットザシーに騎乗した丸山元気騎手はレース後、この件について裁決から5万円の過怠金を課されています。

先に進出していたライラックはこの時点でスプリットザシーを抜き去っていたため、不利を受けることはありませんでした。もしデムーロ騎手が早めに動いていなければ、このアクシデントに巻き込まれていた可能性もゼロではありません。結果的にバックストレッチでの判断が、明暗を分けたと言っていいかもしれません」(同)

 直線で大外に持ち出されたライラックが、デムーロ騎手のムチに応えて桜花賞(G1)へ名乗りを上げたのに対し、エリカヴィータは不利の代償が大きすぎた。それでも直線はしっかり末脚を伸ばしており、次走改めて見直しは必要だろう。

 競馬にタラレバは禁物だが、もしルメール騎手がライラックと同じタイミングで動いていれば……。デムーロ騎手が直線まで末脚を温存していれば……。

 どちらにしてもエリカヴィータ陣営にとってはやや後味の悪い一戦となってしまった。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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