JRA武豊でも「制御不能」乗りこなしてもファンから恨み節、苦労人騎手が「審議」ランプ点灯級の大失策
10日、中京競馬場で行われた11Rの淀短距離S(L)は、1番人気のスマートクラージュが好位から伸びて優勝。オープン昇級初戦を勝利で飾り、前走から連勝を果たした。
その勝ち馬を中団から追撃するも、3/4馬身差の2着に敗れたのが、竹之下智昭騎手の3番人気ダディーズビビッド(牡4歳、栗東・千田輝彦厩舎)だ。
竹之下騎手は敗れた悔しさを滲ませながらも「いい感じで行けました。(休み明けで)若干重い感じもあったので、使って良くなると思います」と、次戦も好走可能なことをアピールした。
前走のオーロC(L)は14着と大敗したが、巻き返すことに成功した。前走を除くと、本馬は竹之下騎手とのコンビで「1-1-2-1」と、安定した成績を残しており、人馬の相性は決して悪くない。
ダディーズビビッドには、かつて武豊騎手が主戦騎手として騎乗した過去もある。同騎手とのタッグでは新馬戦などの2勝をはじめ、現在マイル戦線で活躍するホウオウアマゾンに食い下がる2着にもなり、一定の相性の良さを見せていた。
しかし、2番人気で挑んだ昨年5月の葵S(G)で16着に大敗して以降、竹之下騎手に主戦の座が舞い込んできた。
「主戦交代」のキッカケとなった芝1200mの3歳重賞で、ダディーズビビッドはスタートから折り合いを欠いた。武騎手も必死に宥めたが、レース後に「スイッチが入ってコントロールが利かなかったですね」と振り返ったほど、制御不能だったということである。
対する竹之下騎手は、直前の橘S(L)で、初コンビを組んだが、スタートからゴールまで折り合いをつける満点に近い騎乗で、3勝目をエスコート。2着は現オープン馬のヴィジュネルだが、その差は4馬身差とまさに会心のレース内容だった。
日本競馬界のレジェンドから実力でダディーズビビッドを奪う形となった竹之下騎手だが、昨年の騎乗回数が42回であったように乗り鞍が少ない。それゆえ何としても数少ないお手馬を失わないよう、今回必死に乗ったと思われるが、それが仇となったかレース中に“あるミス”を犯してしまった。
「直線で内に寄れて、併走していたグルーヴィットの進路をカットしましたね。修正も遅れているので、完全にやってしまいました……。これが原因で竹之下騎手は、過怠金5万円の制裁を受けています。
ダディーズビビッドは、武豊騎手でも制御不能に陥ったほど乗り難しい馬ですが、竹之下騎手は何とか乗りこなしていました。今回結果は出しましたが斜行で他の馬の進路を妨害していますので、お世辞にも褒められる騎乗ではありません」(競馬誌ライター)
斜行の被害を受けたグルーヴィットは、それまであった3着以内に入りそうな勢いが一変。脚色が鈍ると、ゴール前で猛追したタイセイアベニールに差されてしまい4着となった。
もし、グルーヴィットが不利を受けていなければ、3着に残っていた可能性も高く、同馬を応援していたファンの一部からは、竹之下騎手への恨み節もネットの掲示板やSNSに見られた。
結果的にダディーズビビッドは、降着とはならず、2着に入ることができたが、次走はクリーンなレース運びで勝利を目指してくれることに期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……