JRAステラヴェローチェは「絶対的」存在なのか!? 日経新春杯(G2)大本命馬に忍び寄る「負」のスパイラル

ステラヴェローチェ 競馬つらつらより

 16日、中京競馬場で開催される日経新春杯(G2)は、今年の中距離戦線を占う重要な指標となるハンデ重賞だ。過去にはステイゴールドやルーラーシップ、近年ではミッキーロケットやグローリーヴェイズなどが、このレースをステップに後のG1馬へと駆け上がっていった。

 そして今年、断然の人気を集める存在となるのが、ステラヴェローチェ(牡4、栗東・須貝尚介厩舎)だ。

 同馬は、ハイレベルと評される世代のクラシックすべてに出走し、皐月賞(G1)3着、日本ダービー(G1)3着、菊花賞(G1)4着。エフフォーリア、シャフリヤール、タイトルホルダー相手にトップクラスの力を証明した。

 そういった経緯もあってか、12日現在の『netkeiba.com』における単勝予想オッズは、1倍台という圧倒的1番人気の評価。2位のヨーホーレイクが5倍台でもあり、少なくともオッズ的には一強状態となっている。

 その一方、堅実な走りを披露しながら、いずれも戴冠まで届かなかったように、もうワンパンチの成長を求められている。本当に完成するのは翌年と評した陣営のコメントから、今年こそ一皮剥けた姿を見せてくれるかもしれない。

 ただ、表向きこそ成長途上としつつも、陣営の選択は少々結果を急ぎ過ぎているようにも映る。

M.デムーロ騎手

 元JRA騎手の藤田伸二氏が「気にくわん」と触れた乗り替わりにも、触れなければならないだろう。藤田氏の不満の矛先となったのは、有馬記念(G1)でのM.デムーロ騎手への乗り替わりだが、ステラヴェローチェ陣営による乗り替わりは、すでに皐月賞前にもあった。

 このときは、3戦続けてコンビを組んだ横山典弘騎手から吉田隼人騎手。そして、以降の4戦で手綱を任された吉田隼騎手からデムーロ騎手への乗り替わり。いずれも敗れたレースの次走というタイミングだけに、おそらく降板させられたというのが妥当な見方か。

 藤田氏がTwitterで「調教師が決めたならガッカリだな、騎手経験者なのに」と噛みついた相手は、ステラヴェローチェを管理する須貝師。今や多くのG1を制している名伯楽も騎手時代は、G3を4勝と地味な存在だった。

 G1・17勝を挙げた名手に比べてかなりの開きがある相手。それだけに自分以上に乗り替わりの辛さを知っているはずの相手が、見方によってはドライな采配をすることに戸惑いを隠せなかったようだ。

 しかし、騎手が乗り替わってもステラヴェローチェが、G1をいまだに勝てていないことも事実。結果的に「非情宣告」に劇的な効果があったとも言い切れない。

「これまでのG1を振り返ると、乗り方云々で勝てたといえそうなレースもこれといって見当たりません。強いて挙げるなら朝日杯FSが惜しかったくらいでしょうか。どうも自分から勝ちに行く競馬だと詰めも甘くなり、後ろから行くスタイルも展開に左右されやすいという弱点があります。

今回はさすがにメンバーが大幅に弱化するため、尚更負けられない立場で挑むことになりますが、こういうときに得てして取りこぼしてしまうケースは珍しくありません。中京開催のため、昨年制した神戸新聞杯(G2)と同じ芝2200mなのは歓迎ですが、当時は不良馬場でした。安易に信頼してしまうには怖いですね」(競馬記者)

 また、斤量面でもデータ的に割引が必要だ。

 中山金杯(G3)登録時に確認した57キロと変わらなかったことは好材料も、過去10年の日経新春杯でトップハンデの馬が勝利したのは、58.5キロだった2012年トゥザグローリーが最後。以降の9年は56.0キロが最高で、57.0キロ以上の馬は連敗中なのだ。

 そこへきて前走から引き続き手綱を取るデムーロ騎手の出遅れ癖も不安材料の一つ。

 10日のフェアリーS(G3)をライラックで勝利したとはいえ、出遅れて最後方からの差し切り勝ち。結果的に馬が強かったから勝てたものの、直前の中山10R迎春S(3勝クラス・芝2200m)でも出遅れていた。

 今年の中京開催は、明らかに馬場の重かった昨年と異なり、全体的な時計も速ければ、差し馬が脚を余して前の馬が残るケースも増えている状況。ステラヴェローチェが、相手なりに好走するタイプで、デムーロ騎手が出遅れるようなら、勝ち切れないことも十分に考えられそうだ。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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