JRA松岡正海「引退危機」から逆襲開幕!? 「モノが違う」ウインブライト半妹が“八分のデキ”でデビュー戦快勝!
16日、中山競馬場で行われた6Rの3歳・新馬を制したのは、松岡正海騎手の1番人気ウインエクレール(牝3、美浦・畠山吉宏厩舎)。2着馬とクビ差だったとはいえ、余裕のある手応えでデビュー戦を勝利で飾った。
単勝1.6倍の断然人気に支持された馬としては、少々物足りないようにも映るが、まだまだ成長の余地を残している素質馬だ。昨年夏にデビューを予定していたものの、態勢が整わずに放牧。改めて立て直された一戦でしっかりと結果を出した。
「八分のデキでも勝てると思っていた。使ってさらに良くなるよ」
フルゲート16頭立てで争われた芝1600m戦。好スタートを決めたウインエクレールは好位3番手からの追走と危なげない位置取り。最後の直線で先に抜け出したバンデルオーラとの差を、坂を上ってから一完歩ごとに詰め、交わしたところがゴールだった。
ここまで人気を集めた背景には、松岡騎手の思い入れもあれば、その高い素質を評価する前向きなコメントも大きく影響している。
美浦ウッドで行われた最終追い切りでは、馬なりで5F65秒5-11秒6の好時計をマークして僚馬に楽々先着。各紙の取材でも「モノが違う」と豪語していたほど自信を隠さなかった。余裕残しの仕上がりで勝てたことは、次走でのさらなる上積みも期待できそうだ。
「ステイゴールド産駒の兄ウインブライトは、松岡騎手とのコンビで香港のG1で2勝を挙げた名馬でした。管理する畠山厩舎も兄と同じで黄金タッグといえるでしょう。
こちらはディープインパクト産駒の牝馬で切れもありそうですし、今後も楽しみな逸材です。時期的に桜花賞(G1)は難しいかもしれませんが、オークス(G1)辺りで注目したい馬ですね」(競馬記者)
松岡騎手といえば、2020年2月に落馬による負傷で長期離脱。重傷を負ったこともあり、一時は引退の危機も囁かれたほどだった。その間も心の支えとなったのが、デビュー戦からパートナーを務めたウインブライトの存在。同年12月の香港C(G1・2着)でも、同馬の引退レースに乗るため、完治しないまま香港へと渡った。
結果的に敗れはしたが、現役最後の舞台となる愛馬の手綱を他の誰にも譲りたくないという強い想いもあったに違いない。
そして今回現れたのが、その妹であるウインエクレール。兄の背中を知る男が、底知れない魅力にあふれる妹の主戦を任されたなら、燃えない理由があるだろうか。
次走の予定はまだ発表されていないが、デビュー勝ちを決めたことで選択肢に余裕が出来たことは間違いない。次走でも目が離せないコンビとなりそうだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。