JRA【根岸S(G3)展望】「12戦0勝」武豊、連勝中ヘリオスで初制覇の大チャンスも…「6連勝中」の超新星クロパラントゥは除外が濃厚
30日(日)、東京競馬場では根岸S(G3)が行われる。フェブラリーS(G1)へ最重要の前哨戦として定着しており、過去10年で4頭がこのレースをステップに上半期ダート王に輝いている。今年も目が離せない一戦となりそうだ。
1年前の当レースで8着、続くフェブラリーSでは最下位16着に敗れたヘリオス(セ6歳、栗東・寺島良厩舎)がパワーアップして戻ってきた。
20年4月にオープンに昇級すると、それ以降はほぼ東京1400mもしくは1600mにこだわって使われてきた。近2走は今回と同じ東京1400mのグリーンチャンネルC(L)と霜月S(OP)を勝利。どちらも上位人気に推されマークされる立場だったが、積極的にハナを奪い押し切る強い内容だった。
新たな戦法で結果を残しているヘリオスだが、逃げ馬にとってこのレースは鬼門になっている。過去10年の逃げた馬の成績は「0-0-0-10」で、10頭中8頭が2桁着順に沈んでいる。最後の勝利は05年のメイショウボーラーまで遡らなければいけないほど、逃げ馬には鬼門のレースとなっている。
ヘリオスが逃げるかどうかは、今回が初騎乗となる武豊騎手の腹次第だろう。根岸Sは過去12回騎乗し、10年サマーウインドと15年ワイドバッハで2度の2着はあるが、勝ち切れていない。13度目の挑戦で秘策はあるか。
なお、ヘリオスは『サウジカップデー』のリヤドダートスプリント(G3)にも登録している。まずは国内重賞レースで結果を残し、選択肢を広げることはできるか。
6歳にして前走・武蔵野S(G3)を制したソリストサンダー(牡7歳、栗東・高柳大輔厩舎)も主役候補の1頭だ。
前走は中団から鋭く脚を伸ばし、2着エアスピネルに1.1/4馬身差をつけ、前年2着の借りを見事返した。
その後はチャンピオンズC(G1)には向かわず、根岸Sをステップに陣営が「ベストの距離」と話すフェブラリーSへ向かう予定だ。本番には中2週になるため、次走を見据えての仕上げなら他馬にも付け入る隙がありそうだ。
7歳という年齢も、やや割引材料になるかもしれない。過去10年の7歳馬の当レース成績は「1-1-1-30」とイマイチ。好走率は「0-2-4-31」の8歳以上にも見劣るほど。果たして前走重賞勝利の勢いが、このデータを覆すことはできるか。鞍上は16年モーニンに続き、このレース2勝目を狙う戸崎圭太騎手が引き続き騎乗する。
リステッド競走を2勝しているジャスパープリンス(牡7歳、栗東・森秀行厩舎)が国内では初めて重賞に挑戦する。
20年と21年には本場アメリカのブリーダーズCに挑戦。2年前は15頭立てのBCスプリント(G1)で14着、昨年は8頭立てのBCダートマイル(G1)で最下位8着に敗れている。
リステッドの2勝はどちらも中京1400mが舞台のエニフSで、左回りの1400mはベストの舞台。ただし、東京1400mでは2戦して、競走中止と16着と結果が出ていない。テン乗りとなる川田将雅騎手が、先行力を生かす展開に持ち込めるか。その手綱さばきに注目したい。
堅実な末脚が魅力のオメガレインボー(牡6歳、栗東・安田翔伍厩舎)も侮れない。
近5走は全て馬券圏内に好走しており、初の1200m戦となった前走カペラS(G3)ではスタートで後手を踏むも、直線内を鋭く伸びて3着を確保した。1ハロン距離が延びる今回の方が競馬はしやすいだろう。
他には、地方では活躍するも中央では一歩足りない2頭にも注意が必要だ。
地方交流重賞で6勝を誇るサクセスエナジー(牡8歳、栗東・北出成人厩舎)だが、中央の重賞は18年プロキオンS(G3)の4着が最高着順。15着に大敗した昨年のフェブラリーS以来となる中央のレースで一発を狙う。
前走の兵庫GT(G3)で地方交流重賞4勝目を挙げたテイエムサウスダン(牡5歳、栗東・飯田雄三厩舎)は、これが中央での重賞3戦目。過去2回は13着と9着に敗れているが、コンビ通算3戦3勝と手が合う岩田康誠騎手の存在が何とも心強い。
もう1頭名前を挙げておきたいのはクロパラントゥ(セ4歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。
2歳時に芝でデビューするも3戦連続で大敗。その後は門別に移籍すると3連勝を飾った。さらに中央に再転入後も3連勝し、ダートでは7戦6勝、現在6連勝中という上がり馬だ。現時点では除外される可能性が高いが、今後のダート路線で面白い存在になり得るだろう。
フェブラリーSを占う前哨戦で新星は誕生するか。根岸Sは30日15時45分に発走予定となっている。