JRA「まるで別人」C.ルメールまさかの重賞13連敗……大本命オーソクレース6着惨敗で、2022年重賞「馬券圏内ゼロ」行進
23日、中山競馬場で行われたAJCC(G2)は、3番人気のキングオブコージ(牡6歳、栗東・安田翔伍厩舎)が勝利。骨折で約1年間戦列を離れていたが、復帰3戦目で見事な復活Vを飾った。
最後は総崩れになる先行勢をあざ笑うかのような、豪快な差し切り勝ち。「いや、会心でもなかったですけど」と本人は謙遜したものの、「天才」と称されるに相応しい横山典弘騎手ならではの思い切った騎乗が見事にハマった。
その一方で、今後に不安を残す敗戦となったのが、1番人気のオーソクレース(牡4歳、美浦・久保田貴士厩舎)とC.ルメール騎手だ。
単勝2.0倍という1番人気で迎えた芝2200mのレース。中団から運んだオーソクレースは、早めに先頭集団を潰しに行く横綱相撲を見せた。
直線の短い中山では珍しくない光景だが、本命馬が動いたことでレースが一気に活性化。ライバルたちが負けじと連動したことでペースが一気に上がると、最後はそのツケを支払うかのようにまとめて失速……。キングオブコージら、後方にいた馬たちの末脚に飲み込まれてしまい、オーソクレースも6着に沈んだ。
「敗れはしましたが、内容は決して悪くなかったと思います。1000m通過が61.2秒とやや遅いペースだったので、ルメール騎手が早めに先頭集団を捕らえに行った判断はそこまで間違ってないと思いますが、オーソクレースの方が思いのほか踏ん張ることができませんでしたね……。
レース後にルメール騎手だけでなく、元JRA騎手の安藤勝己さんも『成長というより太かったかも』と発言されていましたが、結果的に+10キロが響いたのかもしれません。
ただ、最近のルメール騎手は持ち前の勝負強さが感じられないというか、特に重賞などの大きなレースで、どこか噛み合っていない印象。その辺りは少し気になります」(競馬記者)
記者が話す通り、ルメール騎手は昨年12月4日にチャレンジC(G3)を勝利して以来、現在重賞13連敗中……。特に今年に入っては、5レースで3度の1番人気があったものの、馬券にさえ絡めていない。G1・5勝を含む重賞17勝と大暴れした昨年とは、まるで別人のような低迷ぶりだ。
「大活躍だった昨年も2月にフェブラリーS(G1)を勝ってから、5月のフローラS(G2)を勝つまで重賞15連敗という期間がありましたが、それに迫るスランプですね。
昨年12月はルメール騎手としては珍しく伏兵に騎乗する機会も多かったので、結果が出ないことも仕方ないと思っていました。ですが今年は、最初の重賞騎乗となったシンザン記念(G3)の最後の直線で行き場をなくして、単勝1.8倍だったラスールを7着に沈めてしまうなど、どこか歯車が嚙み合っていない印象です。そろそろエンジンが掛かっても良い頃なのですが……」(別の記者)
ただ、ルメール騎手にとっての朗報は、来週から東京開催がスタートすることだ。
日本一コースが広く直線も長い東京は、比較的力通りに決まりやすいコースとして有名だ。多くの有力馬に騎乗するルメール騎手にとっては、能力を全開しやすい舞台と言えるだろう。実際に昨年の重賞17勝の内、約半数の8勝を東京で挙げており、重賞15連敗のトンネルも、今回と同じく東京開催が行われていない期間だった。
「直線はちょっと疲れてしまった。精いっぱい走っていたと思う」
レース後、そう相棒を庇ったルメール騎手。果たして、5年連続リーディングジョッキーの“目覚め”はいつになるのだろうか。スランプ脱出へ、得意の東京開幕がキーになるかもしれない。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。