JRA横山典弘「本気ポツン」で父の威厳見せた! AJCC(G2)8戦5勝「相思相愛」コンビでG1獲りも視野、武史エフフォーリアとガチンコ対決待ったなし?
23日、中山競馬場で行われたアメリカジョッキークラブC(G2、AJCC)は、横山典弘騎手の3番人気キングオブコージ(牡6、栗東・安田翔伍厩舎)が優勝。一昨年5月に制した目黒記念(G2)以来となる重賞2勝目を飾った。
「ゲートの駐立が良くなったし、道中は折り合いだけ気をつけた。目黒記念を勝った馬ですからね。その後、骨折してしまいましたが、ここで復活できて良かった。今後が楽しみ」
パートナーの4戦ぶりの勝利をそう振り返った横山典騎手だが、その喜びもひとしおだろう。
何しろ1勝クラスで伸び悩んでいた同馬にとって、運命の相手ともいえるのが、横山典騎手だった。2年前に出会った両者は、コンビを結成すると4連勝で重賞ウィナーへと駆け上がった。
AJCCを含めたこれまで8戦の成績は【5.0.1.2/8】となり、勝率はなんと62.5%という相性の良さを誇るのだから、まさに相思相愛の仲といえるかもしれない。
また、今回の勝利の決め手となったのが、横山典騎手とはもはや“切っても切れない”後方ポツン騎乗である。
14頭立て芝2200mのレース。最内となる1枠1番からスタートしたキングオブコージだが、ポジション争いには参加せず、横山典騎手は最後方からの追走を選択した。道中でアサマノイタズラがさらに後ろに下げたこともあり、後ろから2番手となったものの、前を行く馬群から少々離され過ぎているようにも映った。
しかし、レース後には安田翔師も「勝つにはこれしかないという乗り方をしてくれた」と大絶賛。現在のキングオブコージにとって、結果的にもこの位置取りこそベストだったということだ。見ている側には半信半疑でも、最高の結果を導いた横山マジックには驚くしかない。
「後ろからの競馬でも道中の手応えは抜群。勝負どころの3~4コーナーにかけて、しっかりと先行勢を射程圏に入れていました。本人も『折り合いにだけ気を付けた』と振り返ったポジションがあの位置だっただけ。陣営に日経新春杯(G2)ではなく、AJCCを進言したのもズバリでしたね。
外から上がり最速の末脚で差し切ったのも、横山典騎手からすれば計算通りだったということでしょう。今後が楽しみとコメントしていたように、まだ上昇の余地もありそうですよ」(競馬記者)
これには元JRA騎手の安藤勝己氏も自身のTwitterで「今回はスカッと絞れてた。人気馬が早めに動いて、勝つならこの展開ってノリのイメージで決まったんやないかな」と、横山典騎手の騎乗を高く評価していた。
また、AJCCには三男である武史騎手もボッケリーニとのコンビで3着に入り、親子で馬券に絡んだことも、父である横山典騎手としては嬉しいはずだ。同じレースに騎乗した際、好結果を出す息子に比して結果が伴わなければ、ネットの掲示板やSNSで一部のファンから“父親参観”と揶揄されることもある。
だが、“本気を出した” 横山典騎手の手腕を誰よりも尊敬しているのが息子たちだ。偉大な父の姿から学ぶべきものが、まだまだあることを感じたのではないか。
陣営からの発表によると、今後は一旦放牧に出した後、4月の大阪杯(G1)を目標に調整されるキングオブコージ。武史騎手のお手馬エフフォーリアと激突する可能性も高く、G1の舞台で横山親子の「ガチンコ対決」にも期待できそうだ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。