JRA川田将雅「ロケットスタート」でもシルバーコレクター濃厚!? 4度目の正直に立ちはだかる天敵のモデルチェンジ

 今年に入って川田将雅騎手が絶好調である。23日に行われたAJCC(G2)こそ着外に敗れたが、ここまで既に重賞1着1回、3着2回で勝率は約35%。騎手リーディングで“定位置”の感もある2位の返上に向けて、最高のスタートを切ったといっていいだろう。

 昨年は、年明けの成績が伸び悩んだ川田騎手。1、2月を通じての勝率は2割以下と、すわ今年は期待薄かと思ったファンもいたかもしれない。

 だが、そこから巻き返して見せたところは、さすが日本人トップジョッキーの一人である。最終的な勝率は28.5%と自己最高を更新し、2019年から3年連続となる最高勝率騎手にも輝いた。

 また、記憶に新しいのがラヴズオンリーユーと挑んだブリーダーズC(米G1)、そして同馬にとって引退レースとなった香港カップ(香港G1)での連勝だ。

 海外遠征については、コロナ禍で帰国後の隔離期間も発生するため、当然その間は国内での騎乗は出来ない。リーディングを争う上では騎乗数が少なくなるマイナスもあったが、当時川田騎手に迷いはなかったのだろうか。
 
 JRAの機関広報誌である『優駿』によると、ブリーダーズC前のインタビューに対しては、「コロナの中でアメリカに行くのは、リーディングをあきらめたということでしょうか?」というインタビュアーの問いに対し、「あきらめたという発想はないですね。リーディングをクリストフ(C.ルメール騎手)と争っていたとしても、行きます」と、並々ならぬ決意を語っていた。

 結果は皆様ご存じの通り、記憶にも記録にも残る、素晴らしい勝利を収めている。

 さて、話を戻して今年はスタートダッシュを決めた川田騎手だが、リーディング1位を目指す上で死角はあるのだろうか。

 やはりカギを握るのは、上記にもあるように騎乗数かもしれない。川田騎手の過去5年における国内の騎乗数はいずれの年も600以下となっており、毎年のように700以上乗っているリーディング1位のルメール騎手とは、そもそも騎乗数が違うというハンデがある。

 では、最大のライバルになるであろうルメール騎手の動向はどうだろうか。

C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

 ルメール騎手は、他の騎手に比べ少し長めの冬休みを取ることでも知られている。本人も昨年も『優駿』のインタビューで、「いつもの僕はスロースターター。手を抜いているわけではないけど、不思議と1月、2月はあまり勝てません」と語っているように、年明けのレースに苦手意識があったようだ。

 ちなみにルメール騎手の過去5年のデータを調べてみたところ、興味深い事実も判明した。2017年は、1、2月の勝率が約15%に対し、全期間の勝率は約25%。トップジョッキーでも、期間によって勝率に10%もの差があったというのは少し意外に感じる。

 だが、それ以降年を重ねる毎に、1、2月の勝率と全期間の勝率差は縮まっていく。一昨年、昨年に至ってはついに1、2月の勝率が全期間の勝率を上回っていた。もはやスロースターターの呼び名は相応しくなさそうだ。

 今年も、重賞こそここまでは人気より着順を落とす結果となっているが、それ以外では6日間で既に12勝とコンスタントに勝ち星を積み上げている。

 ルメール騎手が怒涛のリーディング6連覇を達成するのか、はたまた川田騎手が初の栄冠に輝くのか、伏兵の台頭が今後あるのか。2022年は始まったばかりだが、リーディング争いからも目が離せない。

(文=大井ふみ)

<著者プロフィール>
競馬にハマって3、4年。周りの女性陣に布教活動を試みるもうまくいかず、おじさんの競馬仲間だけが増えていく。大井競馬場でビール片手にナイター観戦にいそしんでいたが、最近はそれすら叶わず自宅観戦の日々。

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