JRA「異常事態」の原因はC.ルメール!? 波乱続きの今年の重賞戦線、実はとんでもない「裏切り」記録が継続中だった
中京競馬場の東海S(G2)を7番人気スワーヴアラミス、中山競馬場のAJCC(G2)を3番人気キングオブコージがそれぞれ勝利した先週末の中央競馬。今年さらなる飛躍を目指す実力馬2頭が、幸先のいいスタートを決めたレースでもあった。
その一方で、東西金杯から始まった2022年の重賞が、波乱続きに終わっていることも、そろそろファンの話題に上がっても不思議ではない頃合いといえるだろう。
今年に入ってすでに9つの重賞が終了したものの、平穏な決着は一度もなし。9レース中4レースで3連単の払戻が10万円を超えたように、本命党には頭の痛い結果が続いているのだ。
それもそのはず。いずれのレースも上位人気に推された馬が、馬券に絡みこそすれ、一度も勝利を挙げていないのだから、高配当となるのは必然といえる。
そこで、年始の中山開催が終了するタイミングということもあり、ここまでの結果を改めて振り返ってみたい。以下は、対象となる9レースの勝ち馬の人気だ。
■2022年、1月23日終了時点の重賞勝ち馬と人気
京都金杯(G3) ザダル、7番人気
中山金杯(G3) レッドガラン、4番人気
シンザン記念(G3) マテンロウオリオン、4番人気
フェアリーS(G3) ライラック、5番人気
愛知杯(G3) ルビーカサブランカ、7番人気
日経新春杯(G2) ヨーホーレイク、3番人気
京成杯(G3) オニャンコポン、6番人気
東海S(G2) スワーヴアラミス、7番人気
AJCC(G2) キングオブコージ、3番人気
勝ち馬の人気の内訳はそれぞれ3番人気2勝、4番人気2勝、5番人気1勝、6番人気1勝、7番人気3勝。ご覧いただくと一目瞭然だが、1番人気も2番人気も勝っていないことがわかる。
ふと気になって調べてみたのだが、ざっと1990年まで遡っても、AJCCを終了した段階で、同様の事例がないことが判明したのは驚きだ。それ以上前でも該当するケースがあるかどうかは不明だが、少なくとも直近の33年という長い期間を通じても、年初の開催で1番人気と2番人気のいずれも重賞を勝てなかった年はない。
「さすがに9回の重賞があれば、一度くらいは上位人気馬が勝つでしょう。実際、ここまでもそういったケースが続いていたわけですから、いかに今年が異常事態となっているかが分かります。
今週から力通りの決着になりやすい東京開催が始まりますから、根岸S(G3)かシルクロードS(G3)がどのような結果となるか注目したいですね。このまま1月中に上位人気馬の連敗が止まらなければ、ちょっとした記録になりそうです」(競馬記者)
やはり、この未曽有の裏切りで気になったのは、C.ルメール騎手の不振だ。昨年12月のチャレンジC(G3)をソーヴァリアントで制したのを最後に、現在重賞レースを13連敗の大スランプに陥った。
シンザン記念のラスール、フェアリーSのエリカヴィータ、京成杯のアライバル、そしてAJCCのオーソクレースといった人気馬に騎乗しながら、3着にすら入れていない。
本命党から戦犯扱いされないためにも、名手の奮起に期待したいところである。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。