JRA優等生変身に池添謙一も認めた「秘密兵器」の効果? 「一度も折り合ったことがない」メイケイエールの驚愕ビフォーアフター!

メイケイエール 撮影:Ruriko.I

 30日、中京競馬場で行われたシルクロードS(G3)は、池添謙一騎手の2番人気メイケイエール(牝4、栗東・武英智厩舎)が優勝。昨年3月のチューリップ賞(G2)以来となる勝利で、高松宮記念(G1)の重要な前哨戦で結果を残した。

「立て直そうとする陣営の話を見聞きしていただけに、それが報われてよかった。ホッとしました」

 殊勲の復活勝利へと導いた池添騎手だが、まず強調したのは陣営によるこれまでの苦心だ。なんといっても、騎乗馬との折り合いの巧みさに定評のある武豊騎手や横山典弘騎手ですら手を焼いた“お転婆娘” がパートナー。管理する武英師も「これまで一度も折り合ったことがない」と評する曲者だ。

 コンビ初結成となった昨年のスプリンターズS(G1)で騎乗した池添騎手も、手の内に入れる難しさは実感していたはずである。さらにはこの日、2枠3番の内枠に入ったことも、前に馬がいるとすぐに交わそうとするメイケイエールにとってプラスとはいえなかった。レースを振り返った池添騎手も「内枠が決まってから、どうしようと思っていた」と頭を悩ませていたようだ。

 しかし、今回のメイケイエールは、これまでとはまるで別馬にでもなったかのような操縦性の良さを披露する。好スタートを決め、先頭に立ったところまでは、いつもの姿だった。これまでは、そこからさらに暴走して鞍上が制御不能に陥っていたものの、好位で我慢することに成功したのである。

 道中で無駄にスタミナをロスすることもなく、最後の直線で早め先頭から押し切れるだけの脚が溜まっていたのは、このガス抜きが功を奏したということだろう。

「前後半3Fが33秒6-34.5とペースが流れたことも、折り合いがつきやすかった理由の一つでしょうけど、馬具の効果も大きかったみたいです。池添騎手も武英師も十分な効果があったと認めています。

ハミと腹帯を繋ぐ『折り返し手綱』、メンコの目の部分が網目状に覆われているパシュファイヤーを使用したことで、ジョッキーとの意思疎通が飛躍的に改善しました。陣営が悩みぬいた結果、ようやく見つけた“秘密兵器”といったところでしょうか」(競馬記者)

 前に馬がいると、とにかく交わそうとしていたメイケイエールだが、陣営の評価はあくまで「走ることに夢中になり過ぎる」だけで、決して気性難ではないとのこと。少なくとも、先入観を持たずに今回のメイケイエールの走りを見れば、それも納得できるだろう。

 これには元JRA騎手の安藤勝己氏も、自身のTwitterで「毛ヅヤなんかからも、次はもっと良くなりそう。そうなると引っかかる可能性あるで、真価を問われる本番やね」とコメントしつつも、レースぶりには感心。「行きたい馬を行かせてしっかり折り合った。差しの流れを早め抜け出しで押し切ったで、地力がやっぱり違うしコンビの息も合っとる」と、改めて能力の高さを評価した。

 例年なら京都開催のシルクロードSだが、京都競馬場の改修工事の関係で今年も中京での開催。3月末に行われる本番と同じ舞台で最高の結果を残したからには、期待が大きくなる。

 ただし、安藤氏がコメントした通り、本番でこそ真価を問われることは間違いない。

 今回の優等生への劇的な変身が一度限りに終わるのか、それともお転婆娘が「レディ」へと変貌を遂げているのか。コンビ2戦目にして瞬く間に“癖馬”を手の内に入れた辣腕と才女のコンビに注目だ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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