横山武史「騎乗停止」も実質お咎めなし!? 川崎記念(G1)タービランスが競走中止、加害者ノーダメージにファンの不満が再燃
2日、川崎競馬場で行われた川崎記念(G1)は、単勝1.2倍の圧倒的な支持を受けたチュウワウィザードが4馬身差で圧勝。次走予定のドバイWC(G1)へ向けて弾みをつける好内容だった。
鞍上の川田将雅騎手はレース後のインタビューで「無事に勝てて何よりです。2年前に勝ったあと、ドバイは中止になって行けませんでした。今年こそのつもりで、ドバイに行ってきます」と、勝利の喜びと次走への決意を露わにした。
しかし、大本命が貫禄の勝利を決めた一方で、レース中に残念なアクシデントも発生していた。
横山武史騎手のヴェルテックスが4コーナーを回る際、外側に斜行。その影響で10番のヒロイックテイルを介して、7番のタービランスに騎乗していた森泰斗騎手が落馬し、競走中止となってしまった。
気になる落馬した人馬の安否だが、森騎手は自力で起き上がり、自らの足で救護車に乗ったため、ひとまず無事とのこと。また、タービランスも現時点で大きな怪我はないと、管理する水野貴史調教師が話しているのは不幸中の幸いだ。
落馬の加害者となった横山武騎手には、川崎競馬裁決委員から4日間の騎乗停止の処分が下された。落馬事故が発生した以上、騎乗停止という重い処分は当然といえるかもしれないのだが、問題なのは実効日数が無いということだ。
発表された騎乗停止の対象は今月の3、4、7、8日であり、今週末のJRA開催日は処分適用外となっている。また、処分該当日には佐賀記念(G3)などの地方競馬との交流戦も開催予定だが、横山武騎手は騎乗予定がないため、同騎手にとっては実質的な処分がないのと同じ状況が発生するのである。つまり、処分を受けたのが地方競馬とはいえ、何のペナルティもないまま、今週末の競馬に騎乗が可能ということになる。
「3日を処分開始の起点日とするならば、4~6日が対象となっても不思議じゃないんですけど……。これではまるで川崎競馬が横山武騎手に配慮したかのような処分ですね。
横山武騎手の騎乗が極めて悪質とは思いませんが、多くのファンが注目するレースで事故を起こしたキッカケを作ってしまいましたから、実質ノーダメージである点はどうなのかなと思います」(競馬記者)
今回の事例と似たケースに昨年末、原優介騎手が大井競馬場で起こしてしまった多重落馬事故があった。この時もJRAが開催していない期間での騎乗停止処分。原騎手は騎乗することができた。
JRAは、今回についても同様に『中央競馬と地方競馬間における処分の相互適用実施要領』に基づいて、川崎競馬が科した騎乗停止日程をそのまま適用することを発表済みである。
横山武騎手からは、レース後に「4コーナーのアクシデントは申し訳ない」と、反省のコメントも出ていたが、ネット上のファンからSNSや掲示板を通じて、疑問の声は根強い。原騎手の件に続いて、またも現行ルールに対する不信感も強まっただけに、そろそろ抜け穴だらけのルールの見直しも必要となるかもしれない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……