JRA強烈「エルボー」ハナ差負けから8年…東京新聞杯(G3)三浦皇成「大穴激走サイン」の条件ピッタリで波乱の予感
6日(日)、東京競馬場では芝マイル重賞の東京新聞杯(G3)が行われる。
人気の中心となりそうなのは、桜花賞(G1)3着、秋華賞(G1)2着の実績が光るファインルージュや昨年の覇者カラテなどで、春の大舞台を見据えた強豪マイラーがぶつかる重要な一戦となりそうだ。
そんななか注目したいのが、メンバー内で随一のG1実績を誇るヴェロックス(牡6、栗東・中内田充正厩舎)だ。今回は三浦皇成騎手が初めて手綱を取る。
三浦騎手と府中のマイル重賞で思い浮かぶのは、16番人気のグランプリボスで2着に好走した14年の安田記念(G1)だ。勝ったのは、奇しくもヴェロックスの父であるジャスタウェイ。最後は騎乗していた柴田善臣騎手と肘が接触するほどの壮絶な叩き合いの末、ハナ差で敗れたあのレースだ。
当時、三浦騎手の荒い騎乗ぶりに非難の声もあったが、1カ月前に同舞台で行われたNHKマイルC(G1)でも17番人気のタガノブルグを2着に導いており、超人気薄での度重なる好走に驚いたファンも多かったのではないだろうか。
この激走パターンに共通するポイントは「乗り替わり」だ。
上記で挙げた大穴2頭の好走だけでなく、11年の東京新聞杯をスマイルジャックで勝利した際も、やはり乗り替わりだった。事実、府中のマイル重賞は、三浦騎手にとってデビュー時から現在まで騎乗した48戦全てで複勝を買い続けても、回収率100%を上回る激走舞台でもあるのだ。
今回、府中のマイル戦・東京新聞杯で騎乗するヴェロックスも、前走の浜中俊騎手からの乗り替わりということで、激走条件にピタリと当てはまる。
ヴェロックスは、サートゥルナーリアやダノンキングリーらと同世代で、クラシックでは皐月賞(G1)2着、日本ダービー(G1)3着、菊花賞(G1)3着と世代トップクラスの力を誇示していた。
しかし、古馬になってからは極度の大不振に陥る。「重賞の1つや2つくらいは、いずれは勝てるだろう」誰もがそう思った逸材は、ここまで重賞勝利を挙げることなく今年ついに6歳を迎えた。
クラシック以降、主に中距離路線を歩んでいたが結果が伴わず、2走前からマイル戦に挑戦している状況だ。
「近走のマイル戦での走りを見ると、着差も大きく離されているわけでもないですし、距離が合わないという見方はまだ早計です。2走とも最後はそれなりの脚は使えていますし、外々を大きく回される展開が響いている印象です。
道中は後ろから内目で脚を溜めて上手く馬群を捌いてくれば、馬券内のチャンスは十分感じます。今回は人気薄必至となりそうですが、鞍上の三浦騎手もこの舞台は得意ですし、アッと驚く走りが見られるかもしれませんね」(競馬誌ライター)
ちなみに、同日に中京競馬場で行われるきさらぎ賞(G3)には、ヴェロックスの半妹セルケトが出走する。
先に妹のクラシックへの大一番を見届ける形になるが、兄としてこちらも存在感を示したいところだ。「未完の大器」と呼ばれ、早熟と揶揄されたメンバー屈指の実績馬が、三浦騎手とともに府中のマイルで激走する姿に期待したい。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?