JRA「G1通算100勝」武豊も驚愕の末脚を継承、共同通信杯(G3)「東京は絶対合う」指揮官もダービーを意識の好素材が狙う大金星
先週6日、中京競馬場で行われたきさらぎ賞(G3)は、横山典弘騎手のマテンロウレオが直線の叩き合いを制して優勝。キャリア3戦目で見事に重賞タイトルを獲得し、一躍牡馬クラシックの有力候補に浮上した。
そのマテンロウレオに前走のホープフルS(G1)でハナ差まで迫ったのが、13日に東京で開催される共同通信杯(G3)に出走を予定しているアケルナルスター(牡3歳、美浦・清水英克厩舎)だ。
昨年11月東京の未勝利戦(芝2000m)を勝利後、格上挑戦ということもあり、ホープフルSでは12番人気の低評価に反発して人気以上に好走。レースでは後方2番手を進むと、最後の直線では馬群の中に入れ、やや進路を探しながらではあったが上がり最速で7着まで追い上げた。
勝ったキラーアビリティには0秒5差をつけられたが、ラストの末脚は目を見張るものがあった。元JRAの安藤勝己氏も自身のTwitterで、「自在性あるタイプが上位を占めた中で、目を引いたのはアケルナルスター。捌けとれば掲示板あった」と、コメントするほど高く評価した。
末脚自慢の本馬にとって、小回りの中山から直線の長い東京に舞台が替わる今回は、大きな前進が期待できそうだ。管理する清水英師も『日刊スポーツ』の取材に対し、「雰囲気は悪くない。3戦連続最速上がりだし、東京の方が絶対合う。日本ダービー(G1)に使いたいよね」と、その意気込みを語っている。
そんなアケルナルスターだが、『netkeiba.com』の単勝予想オッズでは8日現在、6番人気。G1で善戦しながらも伏兵評価に留まった理由の1つに、父がマイナー種牡馬のトーセンラーということもあるかもしれない。
2011年のきさらぎ賞を制覇し、同年のクラシック候補となったトーセンラーだが、三冠レースでは菊花賞(G1)の3着が最高着順。だが古馬になり徐々に本格化すると、13年のマイルCS(G1)では直線で豪脚を披露して見事にG1ウイナーの仲間入りを果たしている。
なおこの勝利は、手綱を執った武豊騎手にとっても、G1通算100勝のメモリアルVでもあった。レース後、「あんな末脚を使えるとはビックリした。G1・100勝は嬉しいが、これからさらに伸ばしていきたい」と振り返ったように、その切れ味は名手をも驚かせた。
その後、15年に種牡馬入りしたトーセンラーだが、サイアーランキングでは毎年90位付近と苦戦を強いられている。兄がアメリカのG1を制覇したフラワーアレイ、全弟は天皇賞・秋(G1)を勝ったスピルバーグだけに、血統的なポテンシャルは間違いなく秘めているだろう。
代表産駒の1頭であるザダルは、昨年エプソムC(G3)を優勝。同じ東京芝1800mを舞台に行われる共同通信杯に出走するアケルナルスターにも、一発を期待したいところである。
「なおアケルナルスターは、ザダルと同じくミスタープロスペクターの4×4のインブリードを持っています。この血統配合は、種牡馬トーセンラーの成功パターンの1つかもしれませんね」(競馬誌ライター)
ちなみに母父のタイキシャトルは、ブルードメアとしてダービー馬のワンアンドオンリーや、ヴィクトリアマイル(G1)を連覇したストレイトガールなどを輩出。東京のG1レースと好相性を誇っている。
アケルナルスターも今回結果を残し、師の希望通り日本ダービーに駒を進めることができれば、本番では面白い存在になれるかもしれない。ぜひ父親譲りの豪脚を東京で披露してほしい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。