元JRA安藤勝己氏「上積みしかない」松山弘平「僕はつかまっていただけ」ダノンベルーガが残したエフフォーリア級インパクト!
13日、東京競馬場で開催された共同通信杯(G3)は、松山弘平騎手の3番人気ダノンベルーガ(牡3、美浦・堀宣行厩舎)が快勝。昨年11月のデビューから2戦連続で上がり3ハロン最速の鬼脚を繰り出し、2戦無敗でクラシック候補に名乗りを上げた。
「この重い馬場ですごくいい脚を使ってくれました。良馬場ならもっといいパフォーマンスができそうだし、大きい舞台に行っても楽しみな馬だと思います」
レースをそう振り返った松山騎手だが、出てくる言葉は初コンビで満点の結果を残したパートナーへの賛辞ばかり。素質馬のデビュー戦で手綱を任されながら、乗り替わりとなった石橋脩騎手に対しても、「前走で石橋騎手がレースを教えていてくれたので、僕はつかまっていただけ」と感謝した。
わずか1戦のキャリアながら、ダノンベルーガは見事な重賞勝利で無敗の2連勝。昨年は勝ち馬のエフフォーリアは世代を引っ張る大活躍を演じた。過去10年、共同通信杯組から5頭の皐月賞馬が誕生したように、クラシックに直結する重要なステップを制した。
負かした相手も、当初は二強と呼ばれたダノンスコーピオンとジオグリフ。前者が昨年の朝日杯FS(G1)で3着、後者が5着ならまとめて面倒を見たことに十分な価値がある。
そしてこの「遅れて来た大物候補」に最大級の評価を下したのが、元JRA騎手の安藤勝己氏だ。
ダノンベルーガの快勝を目撃後、自身の公式Twitterにて「余裕を残しつつ馬っぷりが凄いし、オレの中ではエフフォーリア級のインパクト。キャリア2戦目でこれから上積みしかないでしょ」と大絶賛。
しかも、比較対象にG1・3勝馬の名前を出したのだから、興奮冷めやらぬ感じだ。
「厩舎とタイプ的に皐月賞使うかは分からんけど、ダービーは有力やと思うね」と続け、早くも3歳馬の頂点を決める競馬の祭典の名前を持ち出した。
「堀厩舎で共同通信杯から皐月賞に出走した馬だと真っ先に思い浮かぶのがドゥラメンテですが、現役時代に出走した共同通信杯はリアルスティールの2着に敗れています。この敗戦を機にドゥラメンテはM.デムーロ騎手へと乗り替わり、本番で豪快な差し切り勝ち。ダービーも制して二冠馬となりました。
奇しくもその時に騎乗していたのが石橋脩騎手。今回はデビュー勝ちしてすぐに、陣営が乗り替わりを決断したということは、厩舎としてもすでにドゥラメンテ級の評価をしているのかもしれませんよ」(競馬記者)
石橋騎手には気の毒ではあるが、結果を求められる世界で優勝劣敗は日常茶飯事。現状を打開するためには、もっともっと騎乗技術に磨きをかけて、任せてもらえるだけの成績を残すだけである。
その一方で、気になるのはダノンベルーガの次走だろう。オーナーのダノックスとしては、僚馬のダノンスコーピオンが敗れたことで、それぞれがクラシックとマイル路線の使い分けとなるかもしれない。
東京コースを2勝したため、日本ダービー(G1)向きなのは確かだが、まだまだ皐月賞に出走する可能性は十分にある。現時点では未定ながら、出てくるようなら上位人気必至の1頭となることは間違いなさそうだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。