JRA【阪急杯(G3)展望】G1狙うスプリンターが7F戦で激突! 岩田康誠に導かれ「復活間近」ダイアトニックVS「ポイントは距離」エイティーンガール
27日、阪神競馬場では高松宮記念(G1)の前哨戦である阪急杯(G3)が行われる。勝ち馬と2着馬に本番の優先出走権が与えられるこのレース。今年はどの馬が勝ち名乗りを上げるのか。早速展望していこう。
2019年のスワンS(G2)と20年の函館スプリントS(G3)を制したダイアトニック(牡7歳、栗東・安田隆行厩舎)が完全復活の雰囲気を醸し出している。
一昨年の高松宮記念では、不利がなければ勝てたかいう走りで3着(4位入線繰り上がり)に好走したこともあり、デビューから1400m以下では大崩れしていなかった。ところが、5歳夏のキーンランドC(G3)で15着に大敗すると、続くスプリンターズS(G1)は13着、さらに長期休養明けで迎えた昨年のキーンランドCでも14着と、3戦連続で大敗を喫した。
そして「時間をかけて立て直した」と陣営が語った通り、背水の陣で臨んだ前走の京都金杯(G3)。デビュー以来、最低の12番人気まで評価を落としていたが、岩田康誠騎手の好騎乗も手伝って4着に好走した。
57.5kgを背負い、距離も久々のマイル戦。道中は中団インで脚を溜めると、直線で一瞬先頭に立つかという末脚を披露した。最後の最後で3頭に交わされたが、勝ち馬とは0秒1差。完全復活は間近といえる内容だった。
今回も再び岩田康騎手が騎乗を予定していることも心強い。1ハロン短縮もプラスになるのは間違いなく、今回は主役候補として重賞3勝目を狙えそうだ。
同じく重賞2勝の実績を誇るのがエイティーンガール(牝6歳、栗東・飯田祐史厩舎)だ。
マイルでも実績があるダイアトニックに対し、こちらは24戦中23戦で6ハロン戦を使われてきた生粋のスプリンターである。7ハロン戦は3歳時のフィリーズレビュー(G2)以来、2度目となる。
古馬になってからは追い込み一辺倒の脚質で、展開次第のところはあるが、嵌まったときの爆発力が魅力だ。
前走の京阪杯(G3)は、スタートで後手を踏んだが、道中は焦らず最後方を追走。3~4コーナーで外に持ち出して、押し上げていくと、4角13番手から直線一気の末脚で差し切った。
久々の距離延長で追走は楽になるが、自慢の末脚を発揮できる展開になるかどうか。前走に続きコンビを組む秋山真一郎騎手は『デイリースポーツ』の取材に「ポイントは距離だけ。なんとかいい形で高松宮記念につなげたいです」と答えている。重賞3勝目を決めて、昨年7着に敗れた大一番に臨みたい。
京阪杯でエイティーンガールにゴール寸前で差され、2着に敗れたのがタイセイビジョン(牡5歳、栗東・西村真幸厩舎)だ。
3歳春のアーリントンC(G3)を最後に勝利はないが、近2走は課題のスタートも決めて復活の兆しを見せている。前走の阪神C(G2)は故障した馬による不利もあったが、直線鋭く伸びて4着まで追い上げた。
それだけに、G2の前走ほどメンバーが揃っていない今回は、約2年ぶりに勝利をつかむ絶好のチャンス。G3以下では全6戦で4着以内と堅実と、ここでも大崩れすることは考えにくい。鞍上は2走前の京阪杯で久々の馬券圏内に導いた幸英明騎手を予定している。
クリノガウディーは主戦の岩田康騎手がダイアトニックに騎乗するため、福永祐一騎手との初コンビとなる。左回りに比べて苦手の右回りだが、乗り替わりで新味を出せるか。
武豊騎手と1年5か月ぶりのコンビ復活を果たすサンライズオネスト(牡5歳、栗東・河内洋厩舎)。2週前と1週前の栗東坂路で50秒を切る好タイムをマークするなど好状態でレースに臨めそうだ。特に16日には、この日の一番時計となる48秒2を叩き出し、勝負気配を漂わせている。
これら以外には、長期休養明けながら重賞実績がある2頭も侮れない。
1頭目は、昨夏のアイビスSD(G3)以来の実戦となるモントライゼ(牡4歳、栗東・松永幹夫厩舎)。2歳時に京王杯2歳S(G2)を勝った実力馬が、7ハロン戦で重賞2勝目を狙う。
2頭目は昨年5月の京王杯SC(G2)2着以来となるトゥラヴェスーラ(牡7歳、栗東・高橋康之厩舎)。その前走は先行馬が有利な馬場で唯一、後方集団から上位に脚を伸ばした。年明けに栗東に帰厩し、じっくり乗り込まれてきた。
G1馬こそいないが、重賞で好走実績のある馬が揃った今年の阪急杯。高松宮記念に向けて結果を残すのは果たしてどの馬か。発走は27日15時35分を予定している。