JRA横山一家に「逆転現象」の異変!? 父は重賞未勝利から今年3勝の大反発、兄は1番人気「重賞ワースト連敗」止めるも大本命がまさかの出遅れ

横山和生騎手 撮影:Ruriko.I

 先週末、小倉競馬場で行われた小倉大賞典(G3)は、アリーヴォと初コンビを組んだ横山和生騎手が勝利。昨年の菊花賞(G1)に出走した期待のドゥラメンテ産駒が、大外から豪快に突き抜けた。

 馬場の内側が荒れていた小倉の芝コースとはいえ、8枠16番からのスタートだったこともあり、道中は終始外を回らされる苦しい展開。大きな距離のロスがありながら、それでも突き抜けたのは、力のある証拠だろう。

「こんなに離して勝てるとは思いませんでした。重賞を勝ち切るというのは、勢いが本物だと思います。このまま成長してくれれば楽しみです」

 レースをそう振り返った横山和騎手もパートナーの能力を高評価。これで小倉は5戦5勝で小倉巧者ともいえそうだが、この勝ち方なら他場でも問題なさそうだ。

 そしてアリーヴォの勝利は、年始から続いていたワースト連敗のストップにも大きく貢献した。今年の重賞は、1番人気馬が連戦連敗の大不振で、中山金杯(G3)のヒートオンビートから土曜阪神の京都牝馬S(G3)のスカイグルーヴまで18連敗。最近はメディアでも採り上げられていたほどのレアケースだった。

 昨年は、トーセンスーリヤで制した7月の函館記念(G3)のみの横山和騎手も、2月の段階で重賞勝ちを決められたことは頼もしい。この調子なら2勝目もそう遠くない内に達成できそうな雰囲気だ。

 これは横山家の大黒柱である父の横山典弘騎手についても同様である。昨年は26年続いていた重賞勝利が途絶えたように、その存在感は薄れていく一方だった。

 ネットの掲示板やSNSでも一部のファンから「父親参観お疲れ様」「調教師の勉強頑張って」「息子は買えてもオヤジは買えない」と囁かれるなど、一時は“戦力外”に近い扱いをされるまでに評価が急落。本人のモチベーション低下も危惧された。

 しかし、拠点を関西に移して心機一転した今年は、昨年の不振がまるで嘘だったかのような活躍ぶり。シンザン記念(G3)をマテンロウオリオン、アメリカジョッキークラブC(G2)をキングオブコージ、きさらぎ賞(G3)をマテンロウレオで制し、2月の段階で早くも重賞3勝を挙げてしまった。

横山武史騎手 撮影:Ruriko.I

 ただ、横山ファミリーの父と長男が顕著な活躍を見せた一方で、もうひとつ波に乗り切れていないのが、三男の横山武史騎手だ。昨年エフフォーリアとのコンビで名を馳せた関東の若武者は、重賞9勝(うちG1・5勝)の大ブレイク。24歳の若さで競馬界を代表するトップジョッキーの一人にまで駆け上がった。

 エフフォーリアで有馬記念(G1)を制してわずか2日後にキラーアビリティでホープフルS(G1)を優勝。G1を連勝する離れ業でファンの度肝を抜いたのは記憶に新しい。これで関係者からの評価も急上昇すると考えられたため、横山一家の大本命と目されていた。

 ところが、この勝利を最後に今年8レースに騎乗したものの、重賞未勝利が続く苦しい現状。1番人気馬に3頭騎乗していたことも、先述のワースト連敗へと繋がった。

 父と長男が好成績を残しているだけに、そろそろ本人も焦り始める時期かもしれない。

 昨年のチャレンジC(G3)をソーヴァリアントで制して以来、重賞で19連敗中のC.ルメール騎手に比べれば、まだまだマシにも映るが、中山記念でコンビを予定しているアドマイアヤハダルで、連敗を止めることが出来るだろうか。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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