JRAソダシは「本気で走っていない」プロが見逃さなかった反抗期、白毛のアイドルに不良少女化の予兆あり?

ソダシ 撮影:Ruriko.I

 20日、今年最初のJRA G1・フェブラリーSが東京競馬場で開催された。

 レースは昨年の覇者カフェファラオが、圧巻のパフォーマンスを見せて連覇を達成。2着には積極策を採ったテイエムサウスダンが入り、激戦の3着争いはこちらも前目で運んだソダシが粘り込んだ。

 最終的に4番人気となったが、戦前から大きな注目を集めていたのが、昨年のJRA賞・最優秀3歳牝馬に輝いたソダシ(牝4歳、栗東・須貝尚介厩舎)の挑戦だ。

 デビュー時から輝くような真っ白な馬体でターフを駆ける姿が話題を呼び、2020年12月には阪神JF(G1)を制覇。白毛馬初のG1優勝という快挙を成し遂げると、翌年4月の桜花賞(G1)も制してG1連勝。白毛馬として史上初のクラシック勝利で、再び歴史にその名を刻んでいる。

 その後、オークス(G1)で8着に敗れてデビューからの連勝がストップ。夏には初の古馬混合戦となった札幌記念(G2)を優勝してその力を見せつけたが、牝馬三冠ラストの秋華賞(G1)は10着に敗戦。そこで陣営はダートに矛先を向ける決断を下す。

 初のダート挑戦となったチャンピオンズC(G1)では果敢に逃げるも後続に捕まり、12着と大敗したが、2022年の初戦にはフェブラリーSを選択。ダートの続戦に挑んでの3着は、復活の気配を漂わせる。

 鞍上の吉田隼人騎手もレース後、「半信半疑でしたが……」と正直な想いを吐露しつつ、「ダートでこういう結果が出てホッとしています」と安堵のコメント。

「よく踏ん張ってくれた。キックバックも嫌がらず、内容も良かった」とも語っており、ダート経験が少ない馬にとって、大きな懸念材料となる“砂を被る”展開も苦にしなかったことを明かした。

 その一方で、元騎手たちはソダシの走りについて気になる点を指摘している。

 通算4464勝、JRAで1111勝の実績を誇るレジェンド騎手・安藤勝己氏は「直線に入って手応えなくなったように見えるのは走りに集中していないからなんだよね」と、自身のTwitterで解説。

 もしバテてしまっていたのなら、前走のチャンピオンズCと同様に直線で馬群に消えていてもおかしくなかったところ、「ソリストサンダーが後ろから来たタイミングでもうひと伸び」を見せた点に注目。カフェファラオについていくことはできずとも、テイエムサウスダンを捕まえることができなかったのは、精神的な部分が影響しているのではと推測した。

 また、JRA通算1112勝の“天才”こと田原成貴氏も、自身のTwitterで「ソダシは1600m得意だし、枠順も馬場状態も味方した。でも本気で走ってないね。オレにはそう見えたけど…どうだろう?」と、こちらも気になる発言。結果だけ見ればG1で3着という前向きにも捉えられるものになったが、レジェンドたちは「全力を出していない」と声を揃えたのだ。

 実は、この点については、ソダシを管理する須貝尚介調教師からも懸念の声があがっていた。

 フェブラリーSに向けた追い切りを終えてのコメントの中で、「若い時より“ズルさ”を覚えたところがある」と語っていた須貝師。巻き返しのカギとして、「“ズルさ”を出さないように導いてほしいね」と鞍上に期待を寄せるシーンもあった。

 思えば母のブチコもゲート難に苦しんだ過去があり、娘であるソダシも年を重ねるにつれてゲートでの駐立に苦労するなど、この一族にとって精神面の問題というのは避けられない運命なのかもしれない。

 今後については明言こそされていないが、ダートで続戦ならばかしわ記念(G1)、芝に戻すのであればヴィクトリアマイル(G1)というマイル路線が有力視されている。

 しかし、これまでのソダシにまつわるコメントをまとめていくと、ソダシにとって重要なのは、距離や条件ではなく、「いかに真面目に走ることができるか」と言えるのではないか。

 見かけは変わらず“みんなのアイドル”も、中身は“不良少女”に変貌したのなら……。今後のレースでソダシの取捨を考える時には、今までと違ったイメージを持って検討に臨むことが求められそうだ。

文=木場七也(きば・ななや)

<著者プロフィール>
29歳・右投右打。
本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。
ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。

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