JRA「遅れてきた大物」がレコード勝ち大本命を撃破!「これからどんどん良くなる」岩田望来もクラシックに色気
6日、阪神9Rアルメリア賞(3歳・1勝クラス)では単勝2番人気に支持されたピースオブエイト(牡3歳、栗東・奥村豊厩舎)が快勝し、デビュー2連勝。春の大舞台に向けて、堅実に賞金の加算を成功させた。
本馬は昨年7月小倉の芝1800mでデビュー勝ちの際も、既に大器の片鱗を見せていた。8頭立ての4番手付近でレースを進めると、3コーナー付近から徐々に加速し、直線を向いても勢いは衰えることなく、他馬を全く寄せ付けずに楽勝。レースラップのラストの3ハロンが11.9 – 11.6 – 11.2だったことを考えると、ゴールまで緩むことなく加速をし続けていたことになり、並の馬にはなかなか出来ない芸当だった。
また、この新馬戦で2着に敗れたグランディアはその後、未勝利戦と1勝クラスを勝ち上がりOP入りを果たしている。3着のヴェローナシチーは後に京成杯(G3)で3着に好走。上級条件でも通用している2頭を全く寄せ付けずに勝利したことからも、ピースオブエイトの素質の高さがうかがえる。
新馬戦の後は野路菊S(OP)への出走を予定していたが、状態が整わずに回避。今回のアルメリア賞はおよそ8か月の休養明けの1戦となった。
今回は休み明けの影響もあったか、行き脚がつかずに中団やや後方に位置を取る形に。しかし最後の直線で外に抜け出すと、抜群の末脚で他馬を一気に抜き去り勝利した。上がり3ハロンは最速の34.2秒。上がり2位の馬が34.7秒であり、1頭だけ次元の違う末脚を見せていたことが時計にも表れている。
2着に敗れたジュンブロッサムは、2歳未勝利で当時の東京芝2000mを2歳レコードで勝ち、好メンバーの揃った共同通信杯(G3)でも4着に好走した大本命。これを破っての勝利は、ピースオブエイトに重賞級の力があることの証左であろう。
■岩田望騎手も期待する器
また、今回のレースでは終始、舌を出しながら余裕の走りを見せていた。デビュー2戦目ということもあり、まだまだ精神的に幼い面を覗かせるが、その状態で今回のパフォーマンスを出せるのだから驚愕である。実際に今回騎乗した岩田望来騎手も「これからどんどん良くなるでしょう。ポテンシャルがあります」とコメントしており、今後の成長にますます期待が持てそうである。
ネット上でも今回の快勝は評判であり、皐月賞(G1)への挑戦を推す声も多かった。しかし今年は賞金ボーダーが高く、現在のピースオブエイトの収得賞金900万円では出走は厳しいか。中2週となる毎日杯(G3)で賞金加算に成功すれば逆転出走も可能だが……。
「強行ローテ」で皐月賞を目指すのか、それとも日本ダービー(G1)へ向けてトライアルでの権利獲得を目指すのか。未完の大器ピースオブエイトの今後の動向に注目したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。