JRA 金鯱賞(G2)「259万回」再生数を誇る伝説のレース!「サイレンススズカ4連勝です!」大観衆の中京競馬場が拍手で迎えた逃走劇

 今週末の中京競馬場では金鯱賞(G2)が開催される。競馬場の所在地である愛知県のシンボル名古屋城の「金の鯱」が由来の伝統レースは、これまで57回行われてきた。

 発足当時はダートだった金鯱賞。第6回から中京芝1800mに条件が変更、第32回目の1996年から現在の中京芝2000mのコースとなった。

「遅咲きのサイレンススズカ」が豊と挑む海外遠征!

 そして、コースよりも変更されてきたのが施行時期だ。2011年までは5月下旬の開催だったが、翌12年から16年は12月初旬開催に。現在の3月中旬開催は5年前の17年からとなっている。

 そんな施行条件を幾度も変更された中京の名物重賞は、これまで数々の熱いレースが繰り広げられてきた。2年前は大本命のサートゥルナーリアが貫禄の勝利を収めたと思いきや、昨年は最低人気のギベオンが逃げ切るなど本命党、穴党どちらも楽しめるレースとなっている。

 ただ、ほぼ全ての競馬ファンを魅了させたのは1998年の金鯱賞だろう。この年の1番人気は武豊騎手とサイレンススズカのコンビだ。

 当時のサイレンススズカは2月のバレンタインS(OP)の4馬身差圧勝に始まり、中山記念(G2)、小倉大賞典(G3)と連勝街道を突き進んでいた。

 この勢いが評価されて、金鯱賞も当然の1番人気だった一方で、今回は直近3走と打って変わって単勝オッズは2.0倍。バレンタインS、中山記念、小倉大賞典はいずれも単勝1倍台だったため、今回ばかりは連勝が止まると感じたファンもいるだろう。

 それもそのはず。当時は宝塚記念(G1)の前哨戦だった同レースには、強者が集結。昨年の菊花賞(G1)マチカネフクキタルを筆頭に、サイレンススズカ同様に連勝中のミッドナイトベッドやタイキエルドラドなど一筋縄では倒せないメンバーが揃っていた。

伝説となったレース

 多くの観客で埋め尽くされたスタンドを横目に、好スタートを切ったサイレンススズカと武騎手はいつも通り大逃げを打つ。

 1000m通過は58秒1。レースの焦点はハイペースで後続を千切って軽快に飛ばす本馬に、後続がいつどこで詰め寄るかにかかっていた。

 しかし、3コーナー、4コーナーと回っても後続との差は一向に縮まらず。それどころか、更に引き離していくような圧巻のパフォーマンスを披露。カメラのアングルは目一杯引かないと後続の姿が映らないほどであった。

「サイレンススズカ4連勝です!4連勝!重賞は3連勝!」

 ラジオたんぱ(現ラジオNIKKEI)の藤田直樹アナウンサーが、そうアナウンスしたのはゴール後。否、残り100m少々の付近である。ゴールまで残り僅かとはいえ、勝利を確信したかのようなアナウンスが聞聞かれたのは、G2クラスとなると98年の金鯱賞ぐらいだろう。

 結局、サイレンススズカは後続に大差の1.8秒差を付けて、約24年近く経った今もなお伝説として語り継がれている。その伝説の度合いに拍車をかけているのが、大差をつけられてしまった馬たちの以後の活躍ぶりだ。

 2着のミッドナイトベットは同年の香港C(当時G2)を優勝。翌年には再度金鯱賞に出走して、見事優勝を果たした。また、4着のテイエムオオアラシは同年の小倉記念(G3)を制覇するなど、敗れた馬が次々と他のレースで活躍した。

 この金鯱賞は同年の毎日王冠(G2)と並び、サイレンススズカを語る上で欠かせないレースといえる。YouTube等の動画サイト上には、259万回されたレース映像を筆頭に多数の関連動画がアップロードされているため、天国にいる韋駄天に思いを馳せて見返してみるのもいいかもしれない。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……

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