JRA金鯱賞(G2)お約束の「茶番劇」は忘れた頃にやってくる? 単勝227.3倍にデアリングタクトも不覚……もう騙されたくない「見え見え」の罠

 13日、中京競馬場では、大阪杯(G1)の前哨戦となる金鯱賞(G2)が行われる。

 昨年は無敗で牝馬三冠を達成したデアリングタクトが、単勝1.4倍の圧倒的1番人気に支持されながらも2着に敗れる大波乱。牝馬の横綱を破って大金星を挙げたのは、なんと単勝227.3倍の10番人気ギベオンだった。

 金鯱賞(G2)「逃げない」ジャックドールに賛否の声!?

 10頭立ての少頭数に加え、アーモンドアイやコントレイルの参戦で史上最高ともいわれた前年のジャパンC(G1)で3着に入ったデアリングタクトは実力的にも断然の存在。多くのファンの興味は、どんな勝ち方をするのかに集まっていたといっても過言ではなかった。

 しかし、いざレースが始まってみると、ハナを主張したギベオンがマイペースに持ち込みまんまと逃げ切り。金鯱賞はWIN5対象レースの第三関門でもあったため、最低人気馬が演じた大波乱に85156票の残り票数は一気に176票まで激減する。

 その後の波乱もあって、最終的な的中はキャリーオーバー寸前の1票のみ。この日の払戻は5億5444万6060円という歴代最高額となった。

軽視禁物の逃亡者たち

 これだけならよくある“展開のアヤ”で済ませられそうだが、昨年の我々は何度も同じような光景を目撃したのだから、いよいよ“ただの波乱”といえなくなってきた。

 金鯱賞のから3カ月も経たない鳴尾記念(G3)では、逃げたユニコーンライオンと、2番手に付けたショウナンバルディが行ったままのワンツーフィニッシュ。3着にブラストワンピースが入った8番人気→9番人気→5番人気の3連単は63万5640円もついた。

「2度あることは3度ある」とはよくいったもので、それから半年後の中日新聞杯(G3)では、またしても逃げた馬と2番手の馬のワンツーが再現。8番人気ショウナンバルディ→17番人気アフリカンゴールド→10番人気シゲルピンクダイヤの3連単払戻はなんと236万8380円の特大万馬券だった。

 先述した通り、これら3つの波乱に共通しているのは「中京の芝2000m」条件ということだ。すべてが人気薄の馬による逃げ切り勝ち。それも3レース中2レースで2番手の馬までも2着に粘り込んでいるのだから、これはもう完全に前残りを決め打ちした方がいいようにさえ感じる。

「なんだか毎回騙されているような気がします(笑)。結果が出た後にまたか……と思わされているんですが、人って少し間が空くと忘れているんですよね。上位人気馬にしても、見ている分にはそこまで後ろにいる訳じゃないようにも思えるのが盲点なのでしょう。

こういった結果を振り返ると、中京の芝2000m条件に限っては力関係云々を考えるより、最初から逃げ馬を狙い撃ちする方が、むしろ的中しやすいんじゃないかって気がしてきますね」(競馬記者)

■またしても本命党の悪夢が再現するのか

 今週末の金鯱賞がこれまでと異なるのは、ジャックドールやレイパパレといった上位人気を確実視されている馬が、逃げを武器に結果を残してきたことである。

 他方でジャックドールを管理する藤岡健一調教師からは、先々を考えると逃げには拘らないという噂も聞こえており、レイパパレにしても大阪杯以降は控える競馬を試しているのは気掛かりだ。

 そうなると、リピーターである昨年の覇者ギベオンや、昨年の鳴尾記念と中日新聞杯で二度絡んだショウナンバルディもノーチャンスではあるまい。個人的にはシフルマンも面白そうだと密かに考えているが……。

「いやいや、さすがに今度は」と思わせられながら、何度も続いた人気薄の逃げ馬による波乱演出。そろそろこの茶番から脱したいところだが、今回はどのような結末が待っているだろうか。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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