JRA荒稼ぎC.ルメール「留守番」も松山弘平は苦戦!? ノーザンファーム系「お抱え軍団」で割を食ったのはダービー馬に乗り損なったあの騎手
先月末の2022サウジカップデーで4勝3着1回と大活躍だったC.ルメール騎手。サウジアラビアでの騎手の賞金配分は10%(日本は5%)になっており、わずか1日で日本円にして約5000万円の荒稼ぎに成功した。
2022年春G1の主役は「4戦連続1番人気」濃厚のあのジョッキー
現地で“神騎乗”を連発した勢いを国内の騎乗に繋げたかったものの、帰国後にコロナの陽性反応が出て隔離されることとなった。
「今週末のレースをキャンセルすることを本当に残念に思います。皆さんからの温かいメッセージ、ありがとうございます。皆さんもくれぐれも気をつけて下さい」
本人も自身のTwitterにてファンや関係者に報告。復帰初週からの巻き返しに期待したいところである。
■1日で約5000万円を稼いだルメール騎手
「元々、本人は海外に行ったら帰国後は隔離期間がある為、翌週は乗れないと思っていましたし、調教師や馬主なども遠征したルメール騎手や松山弘平騎手は乗れないと考えていたので早めに違う騎手を確保していました。それが、隔離期間が3日に短縮されたために急遽、乗れるようになりました。
ただ、あくまでも予定だった為、関係者は既に他騎手を確保済み。ルメール騎手にしても土日で8鞍程度しか集まらない状況で弥生賞の騎乗依頼はなし。オーシャンS(G3)のロードベイリーフくらいの状況でした。結局乗れませんでしたが……」(競馬記者)
こちらに関しては、騎乗数で幸英明騎手と日本一を争うくらいの松山騎手でも土日で11鞍を集めるのがやっと。トップクラスの騎手でも予定変更からいきなり騎乗馬を確保することの難しさを物語っていた。
その一方で、現在の状況ならいっそ今月26日のドバイ遠征に踏み切っても良かったかもしれないのが、シャフリヤールの主戦を任されている福永祐一騎手だ。
当初はドバイに遠征するなら騎乗する方向だったが、暮れの香港でケガをした事や隔離期間や家族の心配などを考慮して関係者と相談。その結果、今回は見合わせる形になって、ドバイではC.デムーロ騎手の起用が発表された。代わりという訳ではないが、川田将雅騎手のドバイ遠征で空いていたグレナディアガーズと高松宮記念(G1)で初コンビを結成する。
■生産界最大手のやりくりとは
「現在、ノーザンファーム系のクラブはルメールを主軸に川田、福永、そして横山武史といった騎手の順でやりくりしています。ただ、誰かが海外に遠征すると国内が手薄になるため、残った騎手が騎乗することになります。
今回のサウジアラビアは早い段階でルメール騎手が行くとアピールしていたため、暮れの香港に遠征した騎手は留守番。そして今度のドバイにはルメールと川田の両騎手が遠征して、福永騎手がグレナディアガーズ、横山武騎手がレシステンシアに収まったようですね」(同)
これまでは長いと帰国後に2週間の自粛を余儀なくされていたが、隔離期間の短くなった。来月24日の香港チャンピオンズデーこそコロナの影響で外国馬の出走が叶わなくなったが、現在の状況なら日本人ジョッキーの海外遠征がさらに増えるかもしれない。
とはいえ、それは彼らにとって商売敵ともいえる短期免許で来日する外国人騎手にとっても同じ。いずれにしてもコロナ禍の状況は、以前より少しは終息に向かいつつあるということだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。