JRA「1勝」が遠いダノン軍団の4億円ホース…3歳世代「高額馬」トップ10の現状は?

撮影:Ruriko.I

 いよいよ今年も3月に突入し、クラシック初戦まであと1カ月という時期を迎えた。先週はトライアルの弥生賞ディープインパクト記念(G2)とチューリップ賞(G2)が東西でそれぞれ行われ、牡馬牝馬共に本番へ向けて激しい争いが繰り広げられている。

 そんな中で今一度注目したいのは「高額馬」の存在だ。

 近年セレクトセールでは市場価格の高騰化が進み、高額で落札される馬が度々話題を呼んでいる。クラシックを間近に控え、トライアルレースも多く行われるなか、高額馬たちがデビューから現在までどのような経緯を辿っているか、気になる方も多いのではないだろうか。

 そこで今回は、現3歳世代の高額馬トップ10の馬たちと戦績を並べてみた。

■現3歳世代(2019年生まれ) 高額取引馬(税込)トップ10
(※3月10日時点)
1.ショウナンアデイブ 5億6100万 「1-4-0-0」
2.ドーブネ 5億1711万 「2-0-0-1」
3.リアド 5億760万 「1-1-0-0」
4.ダノンマイソウル 4億4000万 「0-0-0-3」
5.ダノンギャラクシー 3億1320万 「1-1-0-0」
6.ホウオウプレミア 2億9160万 「1-1-0-1」
7.デシエルト 2億7000万 「2-0-0-0」
8.マイシンフォニー 2億6400万 「1-1-0-2」
9.アーティット 2億4200万 「1-1-1-0」
10.セレブレイトガイズ 2億3760万 「1-0-1-2」

 今週末には、12日のゆきやなぎ賞(3歳1勝クラス)に金子真人オーナー所有のディープインパクト産駒アーティットが、13日のフィリーズレビュー(G2)に先月4戦目にして待望の初勝利を挙げたマイシンフォニーがそれぞれ出走予定だ。

 そして、こちらも先月惜敗続きに終止符を打ったショウナンアデイブと、デビューからダートで2戦2勝ながら初の芝挑戦を試みるデシエルトは、19日の若葉S(L)に向かう予定だ。

 大ヒット競馬アプリ『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)でお馴染みの藤田晋氏所有で、朝日杯FS(G1)7着のドーブネは20日のスプリングS(G2)へ、若駒S(L)2着のリアドと京成杯(G3)6着のホウオウプレミアは、26日の毎日杯(G3)を視野に入れている。さすが「高額馬」といわんばかりに、オープンクラスや重賞に早くも進めているが落札価格を思えば、どの馬もまだまだ満足な成績とは言えないだろう。

 そんな中、悪い意味でひと際目立った存在に目を引いた。戦績を見てもらえれば一目瞭然だが、高額馬トップ10で唯一の未勝利馬の汚名を被っているのが、「4億円ホース」ダノンマイソウル(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)だ。

 デビュー前から大きな注目を集めていた同馬だが、すでに3戦して馬券内すらままならない苦しい状況が続いている。先週の5日も未勝利に出走したが、これといった見せ場もなく6着に敗れている。

 冠名「ダノン」でお馴染みのダノックスが所有する3歳馬のなかには、昨年の朝日杯FSで3着に好走したダノンスコーピオンや、先月の共同通信杯(G3)を勝利したダノンベルーガなどのクラシック候補がいるが、現時点で彼らの背中は遥か先にある。同期が活躍する一方で、陣営もデビュー戦の2000mから少しずつ距離短縮をするなど試行錯誤を繰り返しているが、目の前の1勝が遠い現状だ。

「ダノンマイソウルの兄モンファボリは、2年前に函館芝1200mのデビュー戦を勝利し、2戦目には函館2歳S(G3)で1番人気に支持されたほどのスプリンターです。現在は2勝クラスで足踏みが続いている状態ですが、大崩れはなく高い短距離適性を感じます。

高額馬だけにクラシック出走への願望はあると思いますが、いっそのこと短距離に路線変更してみるのも意外とアリかもしれません」(競馬誌ライター)

 意外にも現3歳世代の高額馬トップ10の中からは、まだ重賞馬は誕生していない。

 取引額に関わらず順調に歩む馬も、いれば目も当てられない成績に終わる馬もいる。だが、それでも取引額は、いわば周囲の期待値。まだ競走生活が始まったばかりだが、ダノンマイソウルには是非ともまずは1勝を挙げてもらい、他の高額馬たちにもクラシックを沸かせる活躍を期待したい。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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