武豊「落馬負傷」で思わぬ強敵出現か!? 松山弘平にアクシデント発生も地方屈指の「天才騎手」が代打に名乗り

 16日に高知競馬場で黒船賞(G3)が行われる。高知で開催される年に1度の交流重賞であり、昨年は約6億4200万円の同競馬史上最多の売上を記録した。今年も売上記録更新が期待されており、平日のレースながら高い盛況ぶりを見せている。

 JRA勢4頭、地方勢7頭の計11頭で争われる今回、一番の注目は武豊騎手のヘリオスだろう。

 昨年はリステッド、オープン特別を連勝する活躍をみせ、今年初戦となった前走の根岸S(G3)でも首位と0秒2差の2着に好走。その根岸Sを制したテイエムサウスダンは後にフェブラリーS(G1)で2着になっていることから、ヘリオスも十分高い能力を備えていると見ていいはずだ。

 一方で、残念なことに今回の黒船賞は出走予定馬にアクシデントが重なっている。1つは国内で3連勝中のピンシャンが、疾病により出走取消となったこと。もう1つはサクセスエナジー(牡8歳、栗東・北出成人厩舎)に騎乗予定の松山弘平騎手が乗り替わりとなってしまったことだ。

 松山騎手は12日の阪神9Rに騎乗した際、最後の直線で騎乗馬が前の馬と接触したことにより落馬。搬送された後、頭部外傷の診断を受けて翌日の騎乗などを全てキャンセルしていた。

 サクセスエナジーと松山騎手は、全13勝のうち9勝を同騎手とのコンビで得ている好相性。また、3年前に黒船賞を制したときも、鞍上は松山騎手だった。かねて今回のレースで同馬を狙っていたファンにとっては、主戦騎手の乗り替わりは痛恨だったかもしれない。

 しかし、不幸中の幸いといったところだろうか。残念ながら松山騎手は乗れなくなってしまったが、代打として実績十分な頼もしいジョッキーに白羽の矢が立った。今回サクセスエナジーの代役に抜擢されたのが吉原寛人騎手だ。

 吉原騎手といえば地方競馬で活躍し、天才との呼び声も高い名手だ。昨年は地方馬のミューチャリーに騎乗し、地元の金沢競馬場で行われたJBCクラシック(G1)を優勝。史上初めて地方馬のJBCクラシック制覇の快挙に貢献した。

 そんな腕利きの騎手だが、所属の金沢競馬が先日まで冬期休業していた都合で、現在は高知競馬で期間限定騎乗中。そして、黒船賞に騎乗馬がいなかったことで、サクセスエナジーへの緊急登板が決まったのだ。見方によってはツキがあるといっていいのかもしれない。

 また、前走の根岸Sでは13着と大敗を喫してしまったサクセスエナジーだが、通算5勝を挙げているように地方競馬のダート1400mは大の得意だ。対するヘリオスは良績が東京ダート1400mに集中しており、約1年半ぶりとなる右回りコースに対応できるか不安な部分があり、サクセスエナジーが逆転する可能性はあるはず。

 得意コースと地方屈指の天才騎手を背にサクセスエナジーが武騎手のヘリオスらを破り、土佐の地で3年ぶりの戴冠となるかに注目したい。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……

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