JRA武豊「G1完全制覇」に新たなライバル登場!? ディープインパクト、キングカメハメハ所有…安藤勝己氏も「凄まじい」と唸った相馬眼

ポタジェ

 3日、阪神競馬場で行われた大阪杯(G1)はそれまで重賞未勝利の8番人気のポタジェが激走し、大波乱を引き起こした。このG1勝利がオーナーの金子真人ホールディングス(金子真人名義を含む)にとってJRA・G1通算31勝目となった。

 大阪杯の勝利によって、金子オーナーはJRA・G1競走全制覇まで残すところ、高松宮記念(G1)、マイルCS(G1)、朝日杯FS(G1)、ホープフルS(G1)の4つとなった。実に凄まじいとしか言いようのない快進撃だ。

 馬主と騎手と立場は異なるが、武豊騎手はG1全制覇まであとホープフルS(G1)を残すのみ、C.ルメール騎手は高松宮記念、大阪杯、朝日杯FSの3つを残すのみ。この3人の中で誰が最初にG1全制覇するかは見ものであるが、個人馬主で競馬史上最高とも言えるレジェンド騎手の間に割って入るというのだからその馬を見る目は神懸かっている。

 大阪杯のレースの結果を受けて安藤勝己元騎手も自身のTwitterで「ポタジェ。この相手でG1馬にしてまうか…」「金子さんの主眼と友道厩舎の手腕は凄まじい」と驚嘆していた。

 なぜこれほどまでに金子オーナーはG1を勝ち続けられるのか…?滅多なことではメディアに出てこない同オーナーの相馬術の秘訣は謎だが、自身の目で見て馬選びをしているのだろう。

 金子オーナーの場合、庭先取引で牧場からいい馬をあてがってもらうというより、市場へ行って自分で馬を見て競り落とすのだから、その相馬眼は豪運だけでは済ませられない。

 ポタジェについてもその上の兄姉は皆キャロットファームの持ち馬なのに、ポタジェだけピンポイントでセレクトセールで競り落して、兄弟唯一のG1馬を引き当てた。何か憑き物でもついているのではないかとも思わせる相馬眼の凄さである。

 振り返れば、馬主業を始めた1995年に吉田勝己氏とともにキーンランドのジュライセールへ出向き、当地でブラックホークを競り落とした。そのブラックホークがスプリンターズS(G1)と安田記念(G1)を制したことから「金子伝説」は始まり、その後、1998年に創設されたセレクトセールでは活躍馬を続々と競り落とした。

 セレクトセール創設元年の1998年には早速、京成杯(G3)を制したボーンキングを引き、2002年にはひだかトレーニングセールで関屋記念(G3)を勝ったブルーイレヴンを引き当てる。

 2000年には南部杯(G1)などG1を4勝したユートピアや重賞3勝のサイレントディールを当て、あたり前であるかのように重賞馬を競りで引き当てるという驚異の名馬的中率だ。

 極めつけは2001年のセレクトセールだろう。あのNHKマイルC(G1)と日本ダービー(G1)を勝った名馬キングカメハメハを引き当てたのだ。キングカメハメハは当歳の頃は目立った動きをしていたわけでもなく、いわゆる「評判馬」ではなかった。しかし、金子オーナーの目には「芯の強いものを感じた」と見えて落札、結果、競走馬時代はもちろん種牡馬となっても日本の血統地図を書き換えるような活躍を見せた。

 快進撃は2002年も続く。セレクトセールで3冠馬ディープインパクトを引き当てたのだ。馬格の良かった兄のブラックタイドと違い、薄い体つきで評価はあまり高くなかった当歳時代のディープインパクトだが、「瞳の中に吸い込まれそうな感覚に襲われた」と感じて即決の購入、後の活躍から見れば安すぎる7000万円だった。
 
 活躍馬は社台グループ関連の競りだけではなく、先ほど挙げたブルーイレヴンは日高の競りで射止めた馬で、父サッカーボーイ、母父シンボリルドルフといった地味な血統だった。また、抽せん馬史上最高賞金を獲得したホットシークレットも金子オーナーの所有馬だったのだから社台グループに頼りっぱなしというわけではない。

 さらに驚くべきは、31勝のG1勝利のうち、最も勝っているのが日本ダービーの4勝ということだ。「一生に一度でも勝ちたい」とダービー制覇を悲願にしているオーナーが多い中で4回も勝っているのだ。

 このように、今の日本の主流血統の2頭を連続して競り落とすなど、余人には真似できない馬選びは、何か馬や未来を見る「超能力」のようなものでもあるのかと思えるほどだ。

(文=パッパラー山中)

<著者プロフィール>
 皇帝シンボリルドルフの代表産駒トウカイテイオーの舞うようなフットワークに魅せられて競馬を始める。人生で1番泣いたのは前年の大敗から1年ぶりの復活勝利を決めた1993年の有馬記念(G1)。感動のあまり競馬場で泣いて電車で泣いて家で泣いた。馬券はパドック派。今までで1番「こりゃすんげえ馬体」と思ったのはサクラケイザンオー。

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