元JRA藤田伸二氏「天晴れ!」桜花賞(G1)川田将雅の手腕を絶賛!スターズオンアース“狂気の血”開花で「2冠」へ視界良し
ついに開幕した2022年のクラシック。10日、阪神競馬場では牝馬クラシック第1弾の桜花賞(G1)が行われ、7番人気のスターズオンアース(牝3歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)がゴール前の大激戦を制し、見事「桜の女王」に輝いた。
騎乗した川田将雅騎手はレース後、「何より勝ち切ってくれたことがありがたく思います」と感謝の意を表した上で、「スペースも狭く、他馬とも接触しながら、それでも気持ちが強く最後まで走り切ってくれたことが勝ち切ることに繋がった」と、愛馬の勝負根性を称えた。
そんな川田騎手の手綱さばきを絶賛したのは、元JRA騎手の藤田伸二氏だ。藤田氏はレースを振り返り、自身のTwitterにこう雑感をまとめた。
「ユウガ初コンビでの勝利は見事やった。スタートから終始楽な手応えじゃなかったが直線勇気ある内を突き、残り200M辺りでピンハイにぶつけられるも、そこから闘争心に火が付いた感じで突き抜けた!勝因は巧なコース取りに尽きる!天晴れ!」(原文ママ)
「藤田氏の言う通り、川田騎手とスターズオンアースにとって決して楽な競馬ではありませんでした。最後の直線では前が壁になり、なかなか進路が開かない絶体絶命のピンチでしたからね。
ところが、内にいたピンハイが最内のパーソナルハイにぶつけられ、大きく外に弾かれると、連鎖してスターズオンアースも外に飛ばされました。パトロールビデオを見る限り、逆にこの事象があったことでスターズオンアースの前に進路が開いたようにも映りました。
着差が着差(ハナ差)だけに、ほんの少しでも進路確保のタイミングが遅れていれば、届かなかったでしょうね。惜敗続きだった馬を1着に導いた川田騎手はやはり“持っている”騎手です」(競馬記者)
桜花賞馬に輝いたスターズオンアース。次なる目標は当然オークス(G1)ということになるだろう。デビューから2戦は1800mを使われているように、距離延長はむしろプラスになる可能性が高いという。
「スターズオンアースの戦歴を見ると、父ドゥラメンテと似ています。どちらもデビュー戦2着後の2戦目で勝ち上がり、1番人気を何度か裏切って、本番(クラシック初戦)で評価を落としていました。スターズオンアースは父のような切れる脚は持っていませんが、父と同じ“2冠馬”に輝く資質はあると思います。
母系も魅力です。母のサザンスターズは繁殖牝馬としてイギリスから輸入されました。サザンスターズの1歳下の妹がソウルスターリングです。つまり、スターズオンアースは日本のオークス馬の叔母を持っているということになります。東京2400mが舞台なら父系と母系の両方から大きな後押しを受けることになるでしょう」(別の記者)
「狂気」とさえ言われた圧倒的な強さで日本ダービー(G1)を制した父と、2歳女王としてオークスを制した叔母を持つスターズオンアース。その視界には “クラシック2冠”の文字がはっきり見えている。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。