JRA皐月賞(G1)横山武史「ゲートが全て」もキラーアビリティ轟沈……春G1で泥沼4連敗。オール「馬券圏外」に阪神ファンすら同情の声
17日、中山競馬場で開催された牡馬クラシックの第一関門・皐月賞(G1)は、福永祐一騎手の5番人気ジオフリフが優勝。2着に敗れた前走の共同通信杯(G3)から巻き返し、3歳世代の頂点に立った。
元々はデビューからC.ルメール騎手が手綱を取っていたジオグリフだが、今回はイクイノックスとお手馬が被った関係で福永騎手と新たにコンビを結成した。札幌2歳S(G3)で2着馬に4馬身の差をつけて圧勝した際には、G1級の呼び声もあった逸材。不完全燃焼に終わっていた近走の鬱憤を、テン乗りの福永騎手が見事晴らしたファインプレーといえるだろう。
春G1で泥沼4連敗でオール「馬券圏外」
その一方、またしても結果を残せなかったのが横山武史騎手だ。
「4強」の一角キラーアビリティ(牡3、栗東・斉藤崇史厩舎)に騎乗したものの13着に惨敗。昨年のホープフルS(G1)を制し、2歳王者に輝いた実力馬をファンも4番人気に支持したが、最後の直線で力尽きると抵抗することなく、そのまま馬群に飲み込まれてしまった。
2枠4番からスタートしたキラーアビリティはゲートで痛恨の出遅れ。横山武騎手も何とか中団までリカバリーし、道中は距離ロスを避けるインで我慢する工夫は見せた。
しかし、最後の直線に入ったときにパートナーに余力は残っておらず、外を回した馬が伸びる馬場も内目の進路を選んだコンビに味方とはならなかった。
これには横山武騎手も「今日はゲートが全てです」と悔やんだが、人馬ともに楽観視できない事情もある。
皐月賞を二桁着順に大敗したキラーアビリティだが、日本ダービー(G1)を勝利した事例は直近でも2009年のロジユニヴァース(14着)のみ。巻き返すにはかなりの高いハードルである。
そして、今春のG1で高松宮記念レシステンシア(6着)、大阪杯エフフォーリア(9着)、桜花賞ナミュール(10着)、皐月賞キラーアビリティ(13着)と4連敗した横山武騎手はさらに深刻だ。
いずれも馬の状態やレース展開が少なからず影響した敗戦ではあるが、騎乗馬の内訳は1番人気3頭に4番人気1頭という豪華なラインアップ。これだけの騎乗馬が揃いながら、一度も馬券に絡めないのではスランプといわれても仕方がないだろう。昨年ブレイクした若武者とはまるで別人のような不振に存在感は薄れていくばかりだ。
プロ野球でも開幕9連敗の阪神タイガースが、リーグワーストとなる不名誉な記録を更新したことで話題となったが、横山武史騎手も今年の重賞初勝利を挙げたチューリップ賞(G2)からこれで12連敗。ネットの掲示板やSNSなどでは、阪神ファンと思われるアカウントから“傷の舐め合い”の声もチラホラ聞こえる始末だ。
天皇賞・春(G1)の週から短期免許でD.レーン騎手も来日を予定しており、同騎手と懇意にしているキャロットファームの実力馬が流れていく可能性は否めない。優勝劣敗の生存競争を勝ち抜くためにも、そろそろ何とかしたいところだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。