JRAジオグリフ優勝も福永祐一は心中複雑!? 皐月賞の裏で「明暗」分かれたお手馬2頭…それぞれの今後と可能性
17日、阪神競馬場で行われたアンタレスS(G3)は、横山和生騎手の2番人気オメガパフュームが優勝。59キロという過酷な斤量を背負いながらも、メンバー唯一のG1馬として貫録を見せつけた。
戦前の見立てでは、7歳となったG1馬オメガパフュームに、勢いのある4歳馬グロリアムンディ(牡4、栗東・大久保龍志厩舎)とバーデンヴァイラー(牡4、栗東・斉藤崇史厩舎)の新星2頭が挑む構図で、オッズは完全な3強を形成し幕が開いた。
16頭立てダート1800mで行われたレースは、1枠の2頭がミドルペースで引っ張るなか、バーデンヴァイラーとグロリアムンディがその後ろを追走、オメガパフュームは後方のポジションをとる。最後の直線では、グロリアムンディが先に抜け出したところを、外からオメガパフュームが捻じ伏せる様にゴール前で差し切った。
2着となったグロリアムンディは、最後こそG1馬の決め手に屈したものの、連勝してきた力が本物であることを証明した。レース後には、元JRA騎手の安藤勝己氏も自身のTwitterを通じて「相手が悪かった。厩舎的にもダート界の看板候補でしょ」と評価しており、今後にも期待が持てる内容だった。
その一方で、15着と思わぬ大敗を喫したのがバーデンヴァイラーだ。マイナス14キロの馬体減が影響したとの見方もあるが、手綱を取った幸英明騎手は「前に行けましたが、外から来られて気を遣っていました。モマれないようにしようと思っていましたが、厳しい競馬になりました」とスムーズさを欠いたことを敗因としてあげた。
さらに、この2頭の主戦である福永祐一騎手にとっても、どこか心中複雑な思いがあったかもしれない。自身はこの日テン乗りとなったジオグリフで皐月賞(G1)を制したが、今回騎乗することが出来なかった相棒2頭が余りにもかけ離れた結果となったからだ。
ダート界において連勝中の馬の初重賞の結果は、過去の例からもその後を大きく左右していることがわかる。
近年で思い出されるのは、2年前のアンタレスSで1番人気に支持されたベストタッチダウン(14着)や、昨年のマーチS(G3)で単勝1倍台の断然人気を裏切ったアメリカンシード(14着)などの例がある。
それぞれの今後と可能性
大敗した2頭はどちらも下級クラスからの3連勝中と勢いはあったが、初の重賞で手痛い洗礼を浴びた。その後2頭はともに重賞で勝利することが出来ず、頭打ち状態となったことからも、バーデンヴァイラーもこれだけ大きく崩れると後々の活躍が疑問視されそうだ。
「成功例としては、4連勝中で初の重賞挑戦となった2009年の平安S(G3)でクビ差2着に好走したエスポワールシチーや、同じく4連勝で迎えた2012年のエルムS(G3)でそのエスポワールシチーを退けて勝利したローマンレジェンドなどがあげられ、どちらもその後G1ホースとなっています。
3年前には5連勝中で臨んだ東海S(G2)を制したインティが、勢いそのままにフェブラリーS(G1)も勝利し、一気にダート界の頂点に登り詰めた例もありました。
初重賞でも崩れず好走できるかという点が、その後を占う重要なカギとなっていて、今回2着に好走したグロリアムンディは将来が楽しみな存在となりましたが、一方で大敗したバーデンヴァイラーにとっては、ここからが正念場となりそうですね」(競馬誌ライター)
たかがダートG3、されどダートG3。この一戦の結果が、今後の2頭の将来を大きく左右することになるかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?