昨年「疑惑のスーパーレコード」を生んだ高松宮記念(G1)を検証。推測される超高速馬場の「原因」と今年の「影響」は?
エイシンブルズアイの石橋脩騎手が「特殊な馬場」と言葉を濁せば、ティーハーフの池添騎手が「馬場が固すぎる」と続き、ベテランの四位騎手に至っては「今日の馬場の固さは異常」と断言。元騎手の安藤勝己氏も「(JRAが)馬場いじったなら発表しないと」と怒りをあらわにしている。
無論、その気持ちは馬券を買っていたファンも同様であり、中には当時出走が予定されていた「香港馬エアロヴェロシティの連覇を阻止するために、(香港にはない)高速馬場を作った」などという飛躍したウワサまでささやかれたほどだ。
あれから1年、一体あの時の中京競馬場で「何」があったのか。無論、JRA側に高速馬場を誘発するような特別な意図がなかったことは、その後の情報からも明らかだ。ただし、具体的な原因は依然はっきりしていない。
ただ、その中でも最も有力な可能性として推測されるのが「日程上の問題」である。
実は昨年の高松宮記念の前週は「春分の日」を含めた3日間開催となっており、月曜日も中京競馬が開催されていた。そのため、定期的に芝刈りを行う日程が1日後ろにずれ込み、さらに寒波の影響で芝の発育が遅れたせいで、例の高速馬場が生まれたというわけだ。
もともと馬場改修後の中京競馬場は、路盤が硬いことが問題視されていた。そのため、クッションの役割を果たす芝の発育が伴わないせいで、その影響がモロに出たことが考えられる。
中京競馬場が現在のコース形態に改修されたのは2012年。それから5回の高松宮記念が行われているが、その内2014年と2015年は降雨の影響により時計が掛かる馬場だった。
さらにJRAが春分の日を利用して、前週を3日間開催にし始めたのが2014年(15年は春分の日が土曜日だった)以降。つまりそれ以前の”通常開催”だった12年と13年は、良馬場だが除外される。
そうなると「前週の月曜日まで中京競馬が開催」され、かつ「開催週を良馬場で迎えた」のは昨年が初めてだったということだ。