JRA武豊ウォーターナビレラ「距離不安」も問題なし!? オークス(G1)で狙える馬と割り引く馬、「超ド級」の惑星は桜花賞ブービー人気
ナランフレグが波乱の主役を演じた高松宮記念(G1)から始まった今春のG1戦線。続く大阪杯(G1)でも単勝1.5倍の支持を受けたエフフォーリアがまさかの9着に敗れ、初重賞勝利がG1となったポタジェが優勝した。
そして大きな注目を集めた3歳クラシックもまた春の嵐の洗礼を受けている。桜花賞(G1)を制したのはスターズオンアース、皐月賞(G1)も伏兵のジオグリフが勝利。振り返れば勝ち馬の人気はそれぞれ8番人気→8番人気→7番人気→5番人気という波乱続きで幕を閉じた。
来月1日に行われる天皇賞・春(G1)から6週連続のG1が控えているものの、とりあえず今週は中休み。少し気が早いかもしれないが、桜花賞の結果を参考にオークス(G1)で狙える馬と割引が必要な馬を確認してみたい。
今年の桜花賞は波乱に終わったとはいえ、レースのレベルそのものは悪くなかった。この時期になると、世代レベルの指標として古馬の重賞とのタイム差が話題になりやすいが、勝ち時計の1分32秒9(良)は悪くない数字だった。
対象となるのは、2016年からそれまでの芝1400m条件から芝1600mに変更となった古馬牝馬の重賞・阪神牝馬S(G2)との比較。馬場状態の異なる年を除くと、18年の桜花賞を制したアーモンドアイは1秒7、19年グランアレグリアと昨年のソダシは0秒9上回っていた。これは各馬のスケール感にも通ずるところがありそう。
ちなみに今年の阪神牝馬Sの勝ち時計は1分32秒8(良)。そういう意味では例年並みの基準をクリアしている印象である。7番人気の馬が勝ったとはいえ、フロックで片付けるには早計だろう。
では改めて桜花賞の結果を振り返りつつ、オークスでも好走を期待できそうな馬をピックアップしていく。
1着のスターズオンアースは、桜花賞前まで4戦連続で1番人気だったように、元々評価の高かった馬。惜敗が続いていたとはいえ、川田将雅騎手に「鞍上強化」されたことで結果が追いついた。東京コースもすでに結果を残しており、オークスでも十分に二冠を期待できるだろう。
2着に惜敗したウォーターナビレラも距離をこなせる可能性は高い。好位で競馬が出来るセンスと操縦性の高さは安定感に繋がっている。武豊騎手も皐月賞のドウデュースは後ろからの競馬を試みて敗れたが、こちらはおそらく追い込むことはあるまい。この時期の3歳牝馬は距離適性を能力でカバーするケースも多いため、引き続き好戦が期待できそう。
3着ナムラクレアについては絶好の勝ちパターンに持ち込んだ桜花賞の敗戦は、距離の限界を感じる内容。こちらはオークスよりもNHKマイルC(G1)向きか。
4着サークルオブライフは敗れたとはいえ、外の馬が伸びない馬場を後方待機で見せ場十分の好走。力負けではないため、2歳女王が逆襲する可能性は高い。
5着ピンハイはミッキーアイル産駒で馬格もないタイプ。関東への輸送も考えると苦戦必至か。
1番人気で10着に大敗したナミュールは取捨が難しい。横山武史騎手が若さを見せたとはいえ、同じ外枠のサークルオブライフに比べて少々負け過ぎの感もある。赤松賞(1勝クラス)を圧勝している東京コースへ替わるのは歓迎だが、初めて大崩れしたのは心配だ。
「超ド級」の惑星は桜花賞ブービー人気
配当的な妙味も含めて最も魅力を感じたのは、17番人気で6着のパーソナルハイ。最後の直線で伸び掛けたところをピンハイにぶつけられる不利もあった。唯一の勝ち鞍が芝2000mとマイルで切れ負けしたが、速い時計にも対応した上で上がりも33秒台。吉田豊騎手の好騎乗も光った。
しかし、能力はあっても本番に出走できないのでは意味がない。陣営が選択したのは24日に行われるフローラSでの権利取り。ナミュールが圧勝していた赤松賞で2着だったのが実はこの馬。3着がスターズオンアースだったことを考えれば、絶好の狙い目となる。
オークスに出走するためにも、ここは勝負駆け濃厚のはずだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。