JRA「ご迷惑をかけました」松山弘平が待望の戦列復帰! カムバックを歓迎する牝馬クラシック皆勤の良血牝馬と、悲願達成を狙う「ある調教師」
待望のニュースが飛び込んできた。
先月12日に行われたゆきやなぎ賞(1勝クラス)で落馬し、外傷性脳損傷、右鎖骨骨折、頸椎骨折の大怪我を負っていた松山弘平騎手が、今週末からレースに復帰することが分かった。
戦列を離れて以降、続報が少なかったことで心配していたファンも多かったようだが、同騎手は「皆さまに大変なご迷惑をおかけしました。気持ちを新たにまた頑張ります」とコメント。
怪我の程度を考えると、休養からわずか1ヶ月半での早期復帰は驚異的であると言えるかもしれない。ネットの掲示板やSNSなどでも「本当に嬉しい」「回復力が凄すぎる」といった喜びのコメントが相次いだ。
コンビで一昨年の牝馬三冠を制したデアリングタクトも、来月のヴィクトリアマイル(G1)で約1年ぶりのカムバックが決まっているだけに、再びターフを大いに沸かせて欲しいところである。
そんな松山騎手だが、23日に阪神で開催される難波S(3勝クラス)では、昨年の牝馬クラシック路線でパートナーだったアールドヴィーヴル(牝4歳、栗東・今野貞一厩舎)に騎乗を予定している。
同馬は、不良馬場だった一昨年10月のデビュー戦を、4コーナー10番手から直線一気の末脚で差し切り勝ち。騎乗した松山騎手も「馬場を考えても強かったと思います」と、その潜在能力を絶賛した。
その言葉通り、キャリア1戦で臨んだクイーンC(G3)でも、上がり最速タイの脚を繰り出し、後に秋華賞(G1)を制するアカイトリノムスメとタイム差なしの2着。一気に牝馬クラシックの有力候補に躍り出ている。
ただ、元々440キロ台とあまり大きくなかった馬体が、この時さらに18キロ減って428キロ。「初戦が余裕残しだったので想定内」と指揮官はジャッジしていたが、昨春は馬体減との闘いでもあったか。
さらに6キロ体重を減らして挑んだ桜花賞(G1)は、直線で一瞬は見せ場を作ったものの5着。中5週の間隔が空いたオークス(G1)でも馬体は戻ることなく、同じく5着に敗れている。
「夏場を休養に充てたことで、秋口にはそれなりに回復の兆候も見られましたが、復帰戦のローズS(G2)を1番人気で3着に落とすと、本番の秋華賞でも7着に終わりました。
それでも、三冠レース全て出走して一桁着順に入線を果たしており、十分に立派な成績であったと思います」(競馬誌ライター)
その後は一息入れて年末の自己条件に出走するプランもあったようだが見送っており、今回は秋華賞以来、約半年ぶりの実戦となる。
血統的には、近親に2017年の日本ダービー(G1)で1番人気に支持されたアドミラブルなどがいる、良血の一族でもある。今年こそは飛躍が望まれるだけに、同じタイミングで主戦の松山騎手が復帰するのも頼もしい限りだろう。好結果を期待したいところだ。
良血牝馬と悲願達成を狙う「ある調教師」
さらに、松山騎手の復帰を歓迎している男がもう一人いそうだ。
「アールドヴィーヴルを管理する今野師ですね。2012年に厩舎を開業して今年で11年目を迎える同師ですが、これまでのキャリアで重賞には67回挑戦しているものの、勝利した経験はまだ1度もありません。
管理する現役馬のなかで平地重賞3着以内の実績を持つ馬は、アールドヴィーヴルとマカオンドールの2頭。両馬の主戦は共に松山騎手が務めています。悲願の初重賞制覇を目指す厩舎にとっても、主戦の復帰は喜ばしい限りだと思います」(同)
そのマカオンドールは、翌週の天皇賞・春(G1)に松山騎手とのコンビで挑むことが想定されている。阪神の3000m級で無類の強さを誇ったゴールドシップ産駒だけに一発もありそうだ。
2枚看板と松山騎手とのタッグで、果たして念願のタイトル奪取は叶うだろうか。まずは今週、アールドヴィーヴルで快気祝いの白星に期待したい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。