JRA武豊「お客さん」のまま終戦……「もうワンパンチですね」福島牝馬S(G3)6度目の正直も繰り返された“悪夢”
“天才”と呼ばれる者でも、苦戦してしまう競馬場がある。
23日、福島競馬場で行われた福島牝馬S(G3)は、津村明秀騎手の3番人気アナザーリリックが優勝。道中は後方2番手だったが、4コーナー手前から徐々に追い上げていくと、最後は上がり最速の脚で前にいた馬をまとめて差し切った。
その一方で“豪脚不発”に終わったのは、上位人気の一角を担っていた武豊騎手の2番人気ルビーカサブランカ(牝5、栗東・須貝尚介厩舎)だ。
8枠15番からのスタートで出遅れてしまい、最後方からの追走を余儀なくされると、最後の直線では大外を回って懸命に追ったが、差し届かず5着に敗れた。
16年越し、6度目の挑戦も……
レース後、鞍上は「スタートはいつもこんな感じなので仕方ありません。良い展開だと思いじっくり乗りました」と振り返り、「勝った馬の後ろから良い感じで伸びてはいるのですが、もうワンパンチですね」と悔しさを語った。
「いや~、スタートの出遅れも確かに痛かったですけど、外々を回らされたことも響きましたかね。ラスト3ハロンは勝ち馬アナザーリリックと同じ上がり最速の脚を使って追い込んできていますし、紙一重の悔やまれる敗戦でした。
2走前の愛知杯(G3)では鮮やかな差し切り勝ちを決めていましたが、前走の中山牝馬S(G3)に続き今回もスタートで出遅れた挙句、末脚届かずという同じような展開になってしまいました。スタートが安定しないので、ペースに恵まれないと今後も厳しいかもしれません」(競馬誌ライター)
この日は2020年7月以来の福島参戦となった武豊騎手。計7鞍に騎乗するも結局1勝も挙げることは出来ず。8Rのチカリヨンを除けば全て3番人気以内の上位人気馬だっただけに、不甲斐ない結果に終わってしまった。
「参戦頻度が少ないとはいえ、近年に限ると武豊騎手にとって福島競馬場はあまり相性が良いとは言えません。2006年の七夕賞(G3)をメイショウカイドウで制して以降、福島競馬場で行われた重賞レースには5回騎乗していますが、いずれも上位人気馬で後方からレースを進め、差し届かずという敗戦を繰り返しています。
今回は6度目の正直となったわけですが、蓋を開ければ過去5回と同じような敗戦。上位3頭の騎手は全員、関東所属で福島の騎乗経験も豊富なジョッキーたち。いくら武豊騎手とはいえ、年に数回しか乗らない“お客さん”では勝つのは難しいのかもしれません」(同)
またしても過去と同じような敗戦を繰り返してしまった武豊騎手。天才が福島競馬場で大暴れする日は、まだまだ先になるのかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?