JRA武豊「優勝候補筆頭に躍り出た」、NHKマイルC(G1)ジャングロの成長に自信!? 53歳レジェンドが記した「大きな勲章に手が届く」条件とは……
1週空いた春のG1シリーズは今週末の天皇賞・春(G1)から再開。6月5日の安田記念(G1)まで6週連続でG1が開催される。
天皇賞・春の翌週に行われるのは、3歳マイル王を決めるNHKマイルC(G1)。24日には、特別登録馬21頭が発表された。
人気の中心は、昨年の朝日杯FS(G1)で2~3着に好走したセリフォスとダノンスコーピオンか。実績的には、この2頭がやや抜けた存在なのは間違いないが、メンバー唯一の4勝馬、ジャングロ(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)も決して忘れてはいけない。
昨年12月の中京2歳S(OP)から3連勝中と勢いに乗るジャングロ。25日現在、『netkeiba.com』の想定では単勝オッズ11倍台の5番人気に甘んじている。前哨戦を勝利した4勝馬としては、必ずしも評価が高いとはいえない。
武豊「次のターゲットは当然、G1のNHKマイルCになります」
その理由はいくつか考えられる。逃げ切った前走のニュージーランドT(G2)は近年、レースレーティングの低下が顕著で、G3への降格危機に直面している。今年もメンバーレベルが高いとは言い難かった。
また、同レースが行われる中山芝1600mはトリッキーなコース形態で知られ、直線の長い東京のマイルコースとは求められる適性も全く異なる。
実際、ジャングロは昨年11月のベゴニア賞(1勝クラス)で東京芝1600mを経験。その時は逃げて6着に敗れている。ジャングロの軽快なスピードは、東京コースでは逆に諸刃の剣となるのかもしれない。
ただ手綱を取る武豊騎手はNHKマイルCに向けて、自信をのぞかせているようだ。
『日刊大衆』(双葉社)のウェブ版にて、24日に公開された武騎手のコラム『人生に役立つ勝負師の作法』で、ジャングロの前走について次のように振り返った。
「6枠6番からポンと飛び出したジャングロは、そのまま先頭へ。最後の直線で、いったん前に出られながら、そこから差し返すあたり、力をつけている証拠です」
3歳春の時点ですでに8戦を消化し、レースに使われながら成長カーブを描くジャングロ。武騎手は「次のターゲットは当然、G1のNHKマイルCになります」と高らかに宣言した。
さらに「この勝利で優勝候補の筆頭に躍り出た?」という自らの問いに対して、「そうですね」と力強く回答。ただし、「もう少しだけでいいので、ペースに幅が出るようなら、大きな勲章に手が届きそうです」とG1制覇には課題があることも付け加えた。
「ジャングロの最大の武器は何といっても、スプリント戦でもハナを奪えるスピードです。将来的にはマイラーではなくスプリンター寄りに落ち着くと思いますが、距離のごまかしが利く中山マイルで好走はできても、長い直線が待ち受ける府中の1600mとなると話は別。
前哨戦を勝利していることもあり、ある程度マークされるのは間違いありません。道中どこかで息を入れるタイミングを作らないと、直線は持たないと思います。東京マイル戦で逃げ切るのは容易なことではありませんよ」(競馬記者)
記者の言う通り、前走のニュージーランドTでは道中で1ハロン12秒台のラップを2度入れることができた。ワンターンの府中で武騎手はどのようなペース配分を生み出すのか。武騎手の手腕が問われる一戦ともいえそうだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。