JRA日本ダービー(G1)池添謙一「お手馬無し」クラシックの大ピンチ!? 相次ぐ有力馬の乗り替わり…最後の頼みは「7馬身差」の兄弟タッグ
「G1に強いジョッキーは?」と聞かれたら、どの騎手の名前を思い浮かべるだろうか。
C.ルメール騎手や福永祐一騎手のようなリーディング上位のトップジョッキーは勿論だが、とりわけ「G1に強い」といえば池添謙一騎手の名前が思い浮かぶ。
2011年にはオルフェーヴルとのコンビでクラシック三冠を達成。有馬記念や翌年の宝塚記念を含むG1・7勝を挙げ、「平成のグランプリ男」と呼ばれたこともあった。19年のマイルCS(G1)は、騎乗停止で乗れなくなった福永騎手からバトンを受けたインディチャンプで見事な勝利を挙げただけではなく、20年の安田記念(G1)でもルメール騎手から代打騎乗となったグランアレグリアで、アーモンドアイを破る大金星。ビッグレースでの勝負強さに関しては、競馬界でも随一といえるだろう。
そんな「仕事人」という言葉が板につく池添騎手だけにG1レースでの騎乗も多いが、先日の皐月賞(G1)の出馬表には名前が無かった。池添騎手が皐月賞に騎乗しなかったのは、2018年以来4年ぶりであった。
実は池添騎手は、現3歳世代のレースで昨年から苦戦を強いられている。特に牡馬では苦戦が顕著で、芝・1勝クラス以上で勝利したのは若駒S(L)をリューベックで制した1度のみ。自らの手で騎乗馬を勝利させ、クラシックの舞台へ導くことができていない。
リューベックには引き続き弥生賞(G2)でも騎乗したが、結果は6着に惨敗。その後、リューベックは管理する須貝師と結びつきが強い吉田隼人騎手へ乗り変わり。池添騎手の手から離れ、マイル路線へと向かうことになった。
牝馬ではフィリーズレビュー(G2)でサブライムアンセムに騎乗し重賞制覇。桜花賞(G1)の優先出走権の獲得に貢献したが、本番では元々の主戦騎手である岩田望来騎手に手が戻ることに。池添騎手は14番人気ラズベリームースに騎乗して大敗している。
競馬界にとって最大の「ビッグレース」である日本ダービー(G1)には18年から4年連続で騎乗している池添騎手だが、このままでは今年は「騎乗馬無し」の可能性もある危機的状況だ。
ここ一番での勝負強さを発揮し、2015年から2020年まで6年連続でG1勝利を遂げていた池添騎手だったが、昨年はG1未勝利に終わった。先日JRA通算1300勝を達成した際には、「今年は必ずG1を獲りたい」とコメントを残したが、騎乗馬がいないことには勝利は不可能。意気込みとは裏腹に、かつての3冠ジョッキーが苦境に立たされている。
最後の頼みは「7馬身差」の兄弟タッグ
そこでダービー参戦に向けて、「頼みの綱」となるのが実弟の池添学調教師だ。今週末は池添学師の管理するプラダリアと共にダービートライアル・青葉賞(G2)へと挑む。
プラダリアは前走、阪神2400mで行われた未勝利戦を7馬身差の圧勝。当然今回の相手は強敵だが、青葉賞と同じ2400mの長丁場で圧巻の勝ちっぷりを見せている点は大きなアドバンテージだ。
昨年は池添学師が管理するヴィクティファルスに騎乗し「兄弟タッグ」でクラシック路線を歩んだ池添騎手。青葉賞では持ち前の勝負強さを発揮し、2年連続となる「兄弟タッグ」でのダービー出走の権利を掴みたい。
「ビッグレースに強い」とされる池添騎手だが、競馬の「花形」ともいえる牡馬クラシックではオルフェーヴルの三冠以降は勝利していない。現状有力な「お手馬」がいない池添騎手だが、果たして5年連続の日本ダービーでの騎乗は叶うのか。青葉賞の騎乗も含め、その動向に注目したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。