JRA「桁違いでした」天才・武豊も脱帽した「ブロードアピール超え」の鬼脚炸裂! ダート界に新たなる“大物候補”が急浮上!?
またひとつ驚異的な記録が更新された。
30日、東京競馬場で行われた9Rの横浜S(3勝クラス)は、横山和生騎手の7番人気ウシュバテソーロ(牡5、美浦・高木登厩舎)が優勝。生涯23戦目でダート初挑戦ということもあり低評価だったが、誰もが驚く圧巻のパフォーマンスを披露した。
14頭立てのダート2100mで行われたレース。初ダートとなったウシュバテソーロはスタートを無難にこなすと、道中は無理に行かず最後方から追走。ミドルペースでレースが流れるなか、前の様子を窺うようにじっと脚を溜め、唸るような手応えで最終コーナーを回った。
最後の直線に入ると、坂で他馬が伸びあぐねるなか、大外から1頭だけまるで別次元の末脚で追い上げる。残り200m時点で早くも全馬を交わし去って先頭に立つと、あとはゴールまで後続を突き放す完全な独壇場だった。
上がり3ハロンのタイムに騒然……
「ダートは合うかなと思っていました」とレース後に振り返った鞍上の言葉通り、初のダート戦ながら終わってみれば2着に4馬身差をつける大楽勝だった。
「いやー、想像を超える圧勝でしたね。2着に敗れた1番人気ペプチドナイルに騎乗していた武豊騎手も『勝った馬が強すぎましたし、桁違いでした』とレース後にコメントしていました。能力は相当なものでしょう。
重馬場ながら勝ちタイムの2分8秒1はオープン級の好時計でしたけど、それよりも同馬がマークしたラスト3ハロンの『34秒0』という上がりは衝撃的でした。一瞬、見間違いかと目を疑いましたよ」(競馬誌ライター)
ちなみに「伝説の鬼脚」として、今でも競馬ファンだけでなくテレビ番組などでも度々取り上げられるブロードアピールの根岸S(G3)でさえ、上がり3ハロンは34.3秒(良馬場)である。それをコンマ3秒も上回り、ゴール前では流す余裕まで見せたのだから恐れ入る。
3勝クラスに昇級してからは、芝でなかなか勝ち上がる事が出来なかったものの、ダート初挑戦で大変身を遂げ、見事オープン入りを果たした。
「ウシュバテソーロの父オルフェーヴルの産駒は、昨年に米国のブリーダーズCディスタフ(G1)を勝ったマルシュロレーヌなど、元々芝を走っていた馬がダートに転向して大化けするケースがありました。
また管理する高木厩舎は、2016年のチャンピオンズC(G1)を制したサウンドトゥルーや、昨年の同レースで3着に好走したアナザートゥルースなど、ダート中距離の重賞でも多くの実績があります。
血統面や厩舎を考慮しても今後の伸び代はまだまだありそうですし、このままダート戦線での活躍を期待したいですね」(同)
ダート界の「新星」との呼び声も高いグロリアムンディに続き、またしてもダート転向馬の大物誕生を予感させたこの一戦。今後もその動向に目が離せない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?