JRA福永祐一「単勝1.3倍」大本命でブービー惨敗も、まさかの「擁護コメント」がついたワケ
30日、阪神競馬場の6Rに行われた4歳以上1勝クラスは、小崎綾也騎手の2番人気ケルンキングダムが大逃げを決めて優勝。1コーナーで先頭に立つと、そのまま後続に影を踏ませずゴールまで押し切って通算2勝目を挙げた。
一方、1番人気でまさかのブービー6着に敗れたのが、福永祐一騎手とシンシアリダーリン(牝4歳、栗東・上村洋行厩舎)のコンビだ。
レース直後、批判が集まった福永騎手。しかし……
兄弟に重賞勝ち馬のディアマイダーリンなどがいる同馬は、ここ4走連続で3着以内をキープ。前走で手綱を執ったルーキーの角田大河騎手からトップジョッキーの福永騎手にスイッチしたこともあり、単勝1.3倍のダントツの支持を集めていた。
7頭立てで行われた芝2000m戦。好スタートを切ったシンシアリダーリンと福永騎手は、手綱をしっかりと抑えて後方3番手まで下げる。先述の通りケルンキングダムが大逃げに持ち込んだため、少頭数にもかかわらず縦長の展開に。
前半1000mのラップは61秒7と見た目よりも緩い流れ。それを察知してか福永騎手は3コーナー付近から進出を開始すると、外々を回り3番手の外まで押し上げたところで最後の直線に入る。
だが、直線に向くとシンシアリダーリンの脚色に早くも陰りが見られ、鞍上がステッキを入れても伸びは見られない。外からアドマイヤハイジに交わされると福永騎手も無理に追うのをやめ、最後は流し気味にフィニッシュした。
「1頭大きく離して逃げる馬がいたため、シンシアリダーリンと福永騎手にとっては難しい展開になりました。また、前日の雨の影響でやや特殊な馬場状態になっていたことも影響があったかもしれません」(競馬誌ライター)
圧倒的な人気を裏切ってしまったことで、福永騎手に対してはレース直後のSNSやネットの掲示板などに「これは酷すぎる」「G1以外はやる気ないのか」といった批判的なコメントが集まったのも致し方ないところか。
だが、時間か経つにつれて「過剰人気だったのでは」「騎手のせいとは言えない」といった、擁護的なコメントも多く見られるようになった。
ここまでキャリア12戦のシンシアリダーリンは、左回りの成績が【1-2-3-0/6】という典型的なサウスポーだ。対して右回りでは【0-0-1-5/6】とまだ一度も連に絡めていない。阪神は言わずもがなの右回りだけに、やや人気になり過ぎの嫌いはあったか。
さらに、同馬は中間に熱発しており、調教過程に乱れが生じていたようだ。この日、『BSイレブン競馬中継』(日本BS放送)でも、熱発の影響が敗戦理由の1つだったと番組内で紹介されている。
これらのことを踏まえると、今回は少頭数で低調なメンバー構成であったとはいえ、確かに単勝1.3倍はかなりの過剰人気だったと言えるかもしれない。
福永騎手は次の7Rで5番人気のシゲルリジを1着に導き、見事に名誉を回復した。もう一度シンシアリダーリンとコンビを組む機会があれば、その時はきっちりと巻き返してくれるだろう。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。