JRA日本ダービー(G1)イクイノックス級「超大物」が勝負駆け! 武豊キズナも制した舞台、真価を問われる「8馬身差」の独走劇
7日、中京競馬場ではダービーに向けた注目の一戦となる京都新聞杯(G2)が行われる。
過去の勝ち馬の中には、2013年に武豊騎手とのコンビで日本ダービー(G1)を制したキズナや先週の天皇賞・春(G1)で2着したディープボンドなどが顔を揃える、言わずと知れた出世レースでもある。
今年の登録メンバーを見渡すと、実に全16頭中9頭が前走で上がり最速をマークしているいわゆる「末脚自慢」の馬ばかりだ。昨年のレッドジェネシスをはじめ、過去10年の勝ち馬は、前走で上がり最速をマークした4頭が優勝している。今年も末脚自慢の切れが勝敗を分ける重要なカギとなりそうだ。
なかでも最有力候補は、メンバー唯一の無敗馬でもあるブラックブロッサム(牡3、栗東・斉藤崇史厩舎)だろう。鞍上には、先週から短期免許を取得して日本で騎乗しているD.レーン騎手を迎えて臨むことになった。大舞台で活躍する外国人騎手を確保したということは、ダービーでの継続騎乗も見据えた勝負駆けだろう。
皐月賞(G1)で2着に好走したイクイノックスを輩出し、昨年から初年度産駒がデビューとなったキタサンブラックを父に持つ素質馬は、デビューこそ1月と遅かったものの、「遅れてきた超大物候補」として密かに注目を浴びていた。
真価を問われる「8馬身差」の独走劇
レースを観ていたファンに大きな衝撃を与えたのが、前走の大寒桜賞(3歳1勝クラス)の圧勝だ。
前半1000m通過タイム1分0秒7は、重馬場だった馬場状態を考慮すれば比較的速めのペースだったが、4コーナーから楽な手応えで直線に入ると、そこからはまさに独壇場。鞍上がGOサインを出すとみるみる後続を突き放し、最終的に2着につけた着差は8馬身という独走劇となった。
重馬場で駆け抜けた勝ち時計の2分14秒1は、良馬場でも2分15秒3だった2019年リオンリオンを1秒2も上回るもの。馬場状態の違いはあれども、同馬が後に青葉賞(G2)やセントライト記念(G2)を制したことを考えると価値はある。前走同様に中京の芝2200mが舞台なら勝ち負けの期待は必然的に大きくなる。
さらに、京都新聞杯は日本ダービーと好相性のレースという側面も持っている。
「ダービートライアルの青葉賞(G2)やプリンシパルS(L)を経由した組から本番の優勝馬が未だに出ていない一方で、京都新聞杯はトライアルでこそないものの、近年はダービーに直結する好相性のレースといえます。
開催時期がそれまでの秋から春に移行した2000年以降、このレースをステップにアグネスフライト、キズナ、ロジャーバローズなどが後にダービー馬となっています。
2着に敗れたインティライミやハーツクライなどもディープインパクトやキングカメハメハが相手だったことを考えると十分善戦しています。今年は皐月賞組にそこまでの大物がいないため、チャンスは十分にありそうです」(競馬誌ライター)
また昨年同様に中京競馬場で開催される点も、中京で2戦無敗のブラックブロッサムにとって大きなアドバンテージ。出走が叶えば、ダービーの舞台となる東京の左回りにも自信を持って臨めるだろう。
皐月賞を制したとはいえ、ジオグリフが絶対的な存在とも言い難く、ノド鳴りやドレフォン産駒の距離延長に不安も残る。そういう意味では、2着のイクイノックスの巻き返しに注目が集まるが、未知の魅力を持つブラックブロッサムも引けを取らない好素材だ。
もし、本番と好相性の京都新聞杯を圧勝するようなら、混戦模様のダービーで主役を演じることになっても不思議ではないかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?