JRA 横山武史「5度目の正直」は最終勧告!? 良血馬でドン詰まりの背信騎乗…大物牝馬に不安要素アリも、負けられないNHKマイルC
1日、阪神競馬場で行われた天皇賞・春(G1)は、2番人気のタイトルホルダーが勝利。騎乗した横山和生騎手にとっては嬉しい初のG1タイトル、祖父・横山富雄元騎手、父・横山典弘騎手に続く、親子3代での同レース制覇を成し遂げた。
一方で横山和騎手の弟であり、かつてタイトルホルダーと菊花賞(G1)を制した横山武史騎手は引き続き不調……。先週末は天皇賞・春には騎乗せず、両日とも東京競馬場での騎乗。1番人気4鞍を含む多数の人気馬に騎乗するも、結果は(0-1-3-9)と散々なものだった。
中でも日曜の6Rでは、横山武騎手の不振を象徴づける場面が。
横山武騎手「5度目の正直」ソネットフレーズ
横山武騎手はキャロットファームの良血馬・ライラスターに騎乗、単勝1番人気の支持を受ける。スタート後は3番手の好位置につけたが、直線では仕掛けが遅れ、外から他馬に被されて馬群に閉じ込められる「ドン詰まり」状態に。ゴール手前で進路を確保した後は鋭い伸びを見せたが、結果は3着どまりだった。
春G1での相次ぐ惨敗に加えて、平場でもキャロットファームの信頼を裏切ってしまった横山武騎手。見限られてもおかしくない程の「大スランプ」と言わざるを得ないが、今週末のNHKマイルC(G1)では実力馬・ソネットフレーズ(牝3歳、美浦・手塚貴之厩舎)に騎乗予定。
このキャロットファームが用意した春G1「5本目の矢」がスランプ脱出のカギとなりそうだ。
ソネットフレーズは、前走のデイリー杯2歳S(G2)でタイム差無しの2着に好走。その時の勝ち馬・セリフォスは次走の朝日杯フューチュリティS(G1)で2着。これを物差しに考えれば、ソネットフレーズにもNHKマイルCで上位争いをする力が備わっているはずだ。
デイリー杯2歳Sから、暮れのG1をパスして今回は約半年ぶりの出走。「ぶっつけ本番」でのG1出走に対する不安の声も挙がるが、実はソネットフレーズの外厩先はノーザンファーム天栄である。
ノーザンファーム天栄を利用する馬にとって「休み明け」は、割り引きどころかむしろ好材料であることは、熱心な競馬ファンの間では周知の事実。先日の皐月賞(G1)ではイクイノックスが東スポ杯2歳S(G2)からの異例の直行ローテで2着に好走してみせた。クラシックの大舞台で実証済みの「天栄ローテ」で挑むソネットフレーズにも大きな不安はないはずだ。
また、ソネットフレーズは過去の2走全てC.ルメール騎手が騎乗してきたが、今週末は同騎手がアメリカでケンタッキーダービー(G1)に騎乗予定のため日本では騎乗できず。そこで今回は横山武騎手に白羽の矢が立った形だ。
兄や父の今年の好調ぶりとは裏腹に、不振に陥っている横山武騎手。ルメール騎手の「代役」としてソネットフレーズに騎乗することとなった今回だが、フェブラリーS(G1)を勝ったカフェファラオ、皐月賞(G1)を勝ったジオグリフは共に「前走ルメール」から乗り替わりという共通点があった。不振脱出の「大チャンス」といえるだろう。
期待を裏切り続けてもなお、実力馬の手綱を任せてくれたキャロットファームの厚い信頼に報いるためにも、NHKマイルCでは何が何でも結果を残したいはず。もし、ここでも結果が振るわなければ、いよいよ扱いも変わってくるだろう。
キャロットファーム「5本目の矢」で浮上のキッカケをつかめるのか、ソネットフレーズと横山武騎手に要注目である。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。