JRAピンクカメオの訃報に金子真人オーナーは何を思う…亡きG1馬に捧げる「エリート一家」大逆襲の予感

 先週29日、2007年のNHKマイルC(G1)を制したピンクカメオが、引退後に繁殖牝馬として繋養されていた北海道千歳市の社台ファームで死亡したという訃報が飛び込んできた。つい数日前に、ブラックタイドとの牡馬を出産したばかりだったという。

 2007年のNHKマイルC(G1)は当日の雨により馬場は限りなく「重」に近い「稍重」状態。そのうえ1番人気ローレルゲレイロの単勝オッズは5.5倍と混戦極まるなかで、ブービー人気だったピンクカメオがドロドロになりながらも、最後の直線でライバルたちを大外から豪快に差し切ったことは、衝撃的な記憶として今もなお残っている。

 競馬ファンにとっては「大穴」の代名詞ともいえる存在であり、波乱を演出した3連単970万馬券は当時のG1史上で最高配当を記録し、大きな話題を集めた。自身が制したG1直前に息を引き取ったのは、何か不思議な縁にも感じる。

オーナーはディープインパクトの金子真人氏

 

 オーナーは、ディープインパクトやキングカメハメハなどの馬主として知られる金子真人氏。今年1月に急死した2018年のダービー馬ワグネリアンに続く愛馬の訃報に、悲しみは計り知れないものがあるだろう。

ダンテスヴュー

 そんな最中、金子氏所有のダンテスヴュー(牡3、栗東・友道康夫厩舎)が皐月賞(G1)10着から中2週というローテーションで、NHKマイルCに出走を予定している。前走に引き続き吉田隼人騎手とのコンビで、騎手・厩舎・オーナー共に大阪杯(G1)を制したポタジェの再現を狙う。

 同馬は、1つ上の兄に今年の日経新春杯(G2)を勝ったヨーホーレイクがいる血統で、12頭にも上る兄弟全てが勝ち上がっている「エリート一家」の出身だ。また母父のフレンチデピュティは、奇しくも亡くなったピンクカメオの父でもある。

 家系がエリートなだけに、デビュー前からの周囲の期待は非常に高かったが、2戦目の未勝利戦で勝ち上がると東京スポーツ杯2歳S(G2)で4着、きさらぎ賞(G3)で2着と重賞であと一歩の状況が続いた。

 クラシック第一弾の皐月賞への出走は何とか叶ったが、デビューから一貫して1800mから2000mの中距離を中心に使われていた同馬が、ここにきて初のマイル挑戦に至ったことには少々疑問に映る。

 一見無謀にも見える試みだが、過去を振り返ると2008年の同レースを2着に好走した金子氏所有のブラックシェルと臨戦過程が妙に被る。この馬もデビュー時からダンテスヴューと同じように中距離しか経験がなかったが、皐月賞後に初のマイル戦となったNHKマイルCで結果を出している。

 陣営としても、かつての成功例から勝算ありきの決断とみる。デビュー6戦目での初のマイル戦に関して、管理する友道氏は『スポーツニッポン』の取材に「体つきや血統からむしろ良さそうな感じ。直線の長い東京の舞台もいい」と回答しており、一変の期待を覗かせている。

 兄には前述したヨーホーレイクをはじめ、ボレアス、マウントシャスタ、カミノタサハラ、ベルキャニオンなどの活躍馬はいるが、いまだG1制覇には届いていないこの家系。

 亡きピンクカメオも制したNHKマイルC制覇へ、金子氏が送り出す「エリート一家」の激走に期待したい。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
 ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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