JRA繰り返される「危険騎乗」に賛否!? 落馬負傷から復帰1カ月も「鳴かず飛ばず」松山弘平に焦りの影

松山弘平騎手 撮影:Ruriko.I

 3月12日、阪神競馬場で行われた9Rのゆきやなぎ賞(3歳1勝クラス)で起きた衝撃的な落馬事故は、いまだ多くの競馬ファンの脳裏に焼き付いているはずだ。

 最後の直線で、松山弘平騎手のハイコーストが前を走っていたゼンノインヴォークと接触して転倒。その後、競走中止となった同馬は頚椎関節脱臼により予後不良となり、落馬した鞍上も外傷性脳損傷、右鎖骨骨折、頚椎骨折などの大怪我を負い、戦線離脱を余儀なくされた。

 それからおよそ1カ月経った4月23日、阪神競馬場にはターフに戻って来た松山騎手の元気な姿が見られた。復帰初戦となった2Rの3歳未勝利では、騎乗したソクラテスでいきなり復帰後初勝利をあげ、昨年の全国リーディングで3位となった“頼れる男”のカムバックに多くのファンが歓喜したはずだ。

 ところが復帰して1カ月ほど経過した現在までの成績を振り返ると、予想外に調子が上がってきていない。3月の落馬負傷前が「27-15-13-129/184」勝率14.7%、複勝率29.9%であるのに対し、復帰後は「4-3-4-30/41」勝率9.8%、複勝率26.8%と勢いは以前と比べ失速気味にも映る。特に芝レースに限っては23戦して1勝のみと、勝ち切れないレースが続いている。

「鳴かず飛ばず」松山弘平に焦りの影

 そして、この不調が焦りを生んでいるのか、先週には更なる悪循環も目に留まった。

 14日、中京競馬場で行われた11Rの都大路S(L)では、5番人気のパトリック(牡6、栗東・岡田稲男厩舎)に騎乗した松山騎手。7頭立ての芝2000mで行われた一戦は、前半1000m通過タイム1分2秒1のスローペースで流れるなか、道中は後方2番手を追走する。

 馬群がギュッと縮まったところで最後の直線に入ると、鞍上は最内を突いて追い出しを開始。残り200mを切ったあたりで、前にいた2番人気アラタと1番人気ソフトフルートの間を半ば強引にこじ開け3着に入線した。

 一瞬、危険を感じたこの騎乗に対し、すぐさまネットの掲示板やSNSなどでは「あぶない騎乗」「また落ちちゃうよ」などの3月の落馬事故を彷彿とさせる危険騎乗にヒヤッとしたファンの声もあがるなか、「あれだけの落馬事故をして、あの強引な騎乗ができるのは逆に凄い」とした肯定的な意見も出ていたように賛否を呼んだ。

「パトロールビデオを確認しましたが、最後の直線で内ラチ沿いを伸びようとしていた松山騎手とパトリックの前に、浜中俊騎手のアラタが内側に寄れてきたので、これを回避しようと外側に進路を切り替えています。

そして、前のアラタを今度は外側から交わそうとしたところに、岩田望来騎手のソフトフルートがさらに外から寄ってきて一度接触しています。すると玉突き事故のような形で、今度はパトリックが内にいたアラタにも接触してしまい、板挟み状態となりました。

あわや落馬事故になっても不思議ありませんでしたし、一瞬ヒヤッとした方も多かったのではないでしょうか。人馬共に無事だったのは何よりですが…」(競馬誌ライター)

 実際、レース後には「最後の直線コースで十分な間隔がないのに先行馬を追い抜いた」としてJRAから過怠金1万円の制裁を受けた松山騎手。3月の落馬事故の際も「最後の直線コースでの御法(前の馬に接触した)」により過怠金3万円の制裁を受けており、今年は繰り返し処分を下される場面が目立っている。

 戦線離脱した1カ月間を取り戻すべく、あくまで勝ちに行く強気なスタイルはファンとしては頼もしい限りだが、再び落馬事故に繋がりかねない危険な騎乗には十分気を付けてほしいと願うばかりだ。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
 ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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