JRA「ウマ娘」藤田晋オーナーだけじゃない! オークスにエリカヴィータ、ダービーにも2頭出し目前…注目の「新興馬主」にダートの大物候補誕生!?
15日に行われたヴィクトリアマイル(G1)は白毛馬のソダシが優勝。2020年阪神JF(G1)、21年桜花賞(G1)に次いでG1・3勝目を挙げた。
ソダシを所有するのは強運オーナーとして知られる金子真人氏(名義は金子真人ホールディングス)。ソダシ以外にもアカイトリノムスメで昨年の秋華賞(G1)、ポタジェで今年の大阪杯(G1)を制しており、直近1年半の間に個人馬主としては驚異的なG1・5勝をマークしている。
そんな金子氏の“ライバル”となり得る存在として頻繁にメディアに取り上げられているのが、大人気ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)でお馴染みの藤田晋オーナーだ。
先月のニュージーランドT(G2)でジャングロが重賞初制覇を飾ると、敗れはしたがNHKマイルC(G1)でも上位人気に推された。他にもドーブネ、デュガなど初年度の所有馬5頭のうち4頭が中央で勝ち上がっている。今後も各セリで億単位の爆買いが期待される“新興馬主”の筆頭格といえる存在だ。
そんな藤田氏に負けじと存在感を発揮している人物がいるのが、靴の小売りチェーン「ABCマート」の創業者で、19年秋に馬主デビューを飾った三木正浩氏だ。
三木氏の強運ぶりも金子氏や藤田氏のそれに負けていない。初めて所有した現5歳のジャスティンリーチは、19年10月のデビュー戦でいきなり勝利。2世代目にあたる現4歳にも先日3勝クラスを突破したジャスティンカフェがいる。
そして、その一つ下の3世代目が驚異的な成績を残している。
注目の「新興馬主」にダートの大物候補誕生!?
牡馬には、昨秋の京都2歳S(G3)で三木氏に初重賞制覇をもたらしたジャスティンロック、さらにホープフルS(G1)で2着に食い込んだジャスティンパレスがいる。どちらも皐月賞(G1)に出走し、7着と9着に健闘。両馬は引き続き、来週末の日本ダービー(G1)に出走を予定している。
牝馬を代表するのはエリカヴィータだ。先月のフローラS(G2)を制し、混戦模様のオークス(G1)でも上位争いが期待されている。
「三木氏は、この(現3歳)世代に牡馬12頭、牝馬4頭の合計16頭を抱えています。そのうちの3頭をオークスとダービーに出走させるとなると、これは快挙といってもいいでしょう。
そして将来的にこの3頭を上回る活躍も期待できそうな3歳馬も登場しました。15日のヴィクトリアマイル(G1)直前に行われた青竜S(OP)を制したハセドンという牡馬です。芝のデビュー戦は6着に敗れましたが、ダートに替わって未勝利と1勝クラスを2連勝。青竜Sでは5番人気でしたが、その勝ちっぷりが本当に鮮やかでした」(競馬誌ライター)
横山典弘騎手を背にスタート一息だったハセドン。鞍上も無理に位置を取りにいかず、13頭立ての13番手、最後方をポツンと進んだ。4コーナーでも逃げ馬からは15馬身ほど離された最後方にいたが、直線を向いて外に出されると、グングンと加速。残り200m地点でもまだ後ろの方にいたが、鞍上の左ムチが飛ぶと、一気に他馬を飲み込んだ。
「馬を作っている段階でこういう競馬ができたのは大きいです。相当難しい馬ですが、このまま順調に育っていって欲しいです。まだまだですけどね」
レース後の横山典騎手のコメントからもハセドンには無限の伸びしろがあることがわかるだろう。勝ちタイムの1分35秒5は、稍重で開催された3歳限定の東京1600mダート戦では、2年前のユニコーンS(G3)でカフェファラオがマークした1分34秒9に次ぐ2位である(1986年以降の対象171レース中)。
ハセドンはダート路線に転向後、無傷の3連勝。一度波に乗ったら止まらないモーリスの産駒だけに今後の活躍も楽しみだ。続々と活躍馬を出している三木氏のダート部門はハセドンにお任せあれ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。