JRA武豊「ワープ」で沸かせた元クラシック候補と待望のコンビ復活! 衰え知らずのディープインパクト産駒と狙う「11年ぶり」大金星
21日、中京競馬場ではダート1900mを舞台に平安S(G3)が行われる。
新境地を求めて、今年からダートに参戦しているカデナ(牡8歳、栗東・中竹和也厩舎)に騎乗を予定しているのが、昨年の安田記念(G1)以来のコンビとなる武豊騎手だ。
その安田記念は、グランアレグリアやインディチャンプなど好メンバーが揃った一戦。武豊騎手とカデナは14頭立てのシンガリ人気で単勝167.9倍という低評価に甘んじていた。
だが、レースではシンガリ付近から最後の直線半ばで「ワープ」するかのように内ラチ沿いに進路を取ると、メンバー中3位の上がり3ハロン33秒2をマーク。勝ったダノンキングリーから0秒5差の6着に食い込みファンを大いに沸かせている。
「ワープ」で沸かせた元クラシック候補と待望のコンビ復活
なお、ディープインパクト産駒のカデナは、3歳時に福永祐一騎手とのコンビで弥生賞(G2)を優勝。皐月賞(G1)でも3番人気に推された元クラシック有力馬だが、もともと新馬戦で手綱を握っていたのが武豊騎手である。
デビューから2戦でタッグを組んでパーフェクト連対、先述の安田記念でも人気を大幅に上回った結果を鑑みると、人馬はよほど手が合うということだろうか。
ネットの掲示板やSNSなどにも「昨年の安田記念は好騎乗だった」「レジェンドとは相性が良いので楽しみ」といったコメントが寄せられているだけに、今回は待望のコンビ復活となりそうだ。
一方で、カデナは今年に入り競走馬としては高齢の8歳を迎えた点はやや気になるところか。
一緒にクラシックを走ったアルアインやレイデオロは既に種牡馬入りしており、すでに産駒も誕生している。同年代のキセキやペルシアンナイトも昨年でターフに別れを告げた。
だが、『東京スポーツ』の報じた記事によると、陣営は昨年挑戦した天皇賞・秋(G1)の前に「7歳になって能力と心身とがかみ合ってきた感じがするし、馬が本物になってきた」とにコメントするなど、老いてなお盛んである様子。
今年に入ってからも「年齢を感じさせない」と話しており、2走前のマーチS(G3)で手綱を取った三浦皇成騎手も「以前に乗った時より、体の使い方や馬の雰囲気は良くなっていました」と、目下の充実ぶりを強調した。
また、3月の名古屋大賞典(G3)を優勝したクリンチャーが、同じく8歳でノースヒルズの所有馬であることも、カデナにとっては追い風になりそうな点だ。
そのクリンチャーも芝からダートへと転向しており、7戦目で砂の初勝利を挙げていたことを考えると、平安Sがダート4戦目となるカデナも、そろそろ走り頃であるといえるかもしれない。
「ディープインパクト産駒は芝を得意とするだけに、ダート重賞は2勝のみですが、レパードS(G3)を勝ったボレアスとJBCレディスクラシック(G1)を制したアンジュデジールは共に母父がフレンチデピュティでした。
そのため、同じく母父にフレンチデピュティを持つカデナも、ダートのタイトルをもぎ取るチャンスはあると思われます」(競馬誌ライター)
2011年のレパードSでボレアスを優勝に導いたのが、カデナに騎乗する武豊騎手である。今回勝利すれば、ディープインパクト産駒では約11年ぶりのダート重賞制覇ということになる。
平安Sには昨年の最優秀ダートホース・テーオーケインズも出走を予定しているが、調整が難しいとされる海外帰りだけに、付け入る隙も生まれるかもしれない。再びファンを沸かせるような騎乗で大金星に期待だ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。