JRA「一瞬しか本気で走っていない」陣営もダービー即断! 超大物が異次元の強さで3連勝、ジョッキーも「ポテンシャル高い」と太鼓判
競馬の祭典・日本ダービー(G1)の開催を控える今週末だが、芝のG1だけでなくダートのG1でも将来性溢れる超大物候補が誕生した。
22日に中京競馬場で行われた10R鳳雛S(L)を3戦無敗で制したハピ(牡3、栗東・大久保龍志厩舎)は、今後も名前を覚えておいて損はない1頭だ。
レースを重ねる度、その強さに磨きが掛かっている。今年の1月のデビュー戦を4番人気で制すると、続く1勝クラスは3番人気で問題なく勝利。ダート1800条件で重の開催となったものの、翌日に行われた古馬2勝クラスの勝ち時計を1秒1も上回る衝撃的な走りだった。
今回の鳳雛Sは相手も強化されるリステッド競走だったものの、一時は単勝オッズが1倍台に支持されたほど大きな期待が集まっていた。
「強い内容でした。今回は頭数も手ごろなので課題を与えながらのレースを考えていました。大きなレースを狙えるポテンシャルを持っている馬です」
これが2戦目のコンビとなった藤岡佑介騎手のコメントからも、自信のほどが伝わってくる。パートナーの能力に太鼓判を押しただけでなく、課題を用意して挑んでいたという言葉に勝利を確信していた様子が窺える。
「一瞬しか本気で走っていない」陣営もダービー即断
この勝利で陣営は7月13日に大井競馬場で開催されるジャパンダートダービー(G1)への出走を表明。管理する大久保龍志調教師も「まだ一瞬しか本気で走っていない」と自信を隠さない。
実際、この日のハピが披露した圧巻の内容は、十分にG1を意識できるだけの走りだったといえる。
10頭立てのダート1800m戦。スタートで躓くような格好となったハピは後方からの競馬を強いられた。逃げたスマートビクターが刻んだ1000m通過のラップは、1分2秒9のスローペース。前残りが濃厚な展開ということもあって、この時点で大本命馬の敗戦を予感したファンも少なくなかっただろう。
しかし、最後の直線に入ってまだ後ろから3番手にいたハピの繰り出した末脚は破壊力抜群。残り200mあたりで先頭に並び掛けると勝負あり。あっさり抜け出すと、最後は流しながら先頭でゴールを通過した。上がり3ハロン36秒5は、2着馬のそれを1秒2も凌ぐ驚異の切れだった。
「多少ズブいところはありますが、エンジンが掛かってからは桁違いの脚を使いますねこの馬。これで無傷の3連勝ですが、距離延長も問題なさそうですし、相当なスケールだと思います。
今年の3歳世代には、他にもダートの大物候補がいますが、ハピの魅力はキズナ産駒ということです。芝ダートどちらも走る種牡馬ですから、芝でも見てみたいですね」(競馬記者)
5月下旬というタイミング的に春のクラシックには間に合わなかったが、このまま快進撃が続くようなら、秋には芝の重賞を走っている可能性もゼロではないだろう。
無敗の4連勝の懸かる次走。遅れてきた大物候補がどのような走りを披露してくれるだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。